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顧客に支持され続ける事業を生み出す「SCAMPER法」の使い方

 昨今のEコマースやソーシャルネットワークの普及により、顧客の購買行動のプロセスはより複雑化しています。そこで、機能的な価値やデザイン的な価値、商品を得ることで実現する意味的な価値を顧客に正しく訴求し、個人や小規模事業者でも支持され続ける事業や商品を生み出すことが必要とされています。

そのために非常に有効なフレームワークが「SCAMPER法」です。

SCAMPER法とは?

SCAMPER法は、既存の製品やサービスを新しい角度から見直し、改善のためのアイデアを引き出すためのフレームワークです。SCAMPERは以下の7つのアプローチで構成されています。

  • S(Substitute)置き換える
  • C(Combine)組み合わせる
  • A(Adapt)適応させる
  • M(Modify)修正する
  • P(Put to another use)他の用途に使う
  • E(Eliminate)除去する
  • R(Reverse)再配置する

この方法を使えば、商品やサービスに新たな命を吹き込むことができます。それでは、SCAMPER法の7つのステップについて具体的に見ていきましょう。

 

SCAMPER法の各要素の解説と具体例

 

1. S(Substitute)置き換える

「置き換える」では、既存の製品やサービスの一部を、他のもので置き換えることができないかを考えます。この方法は、特に製品やサービスの持続可能性を高めたいときや、顧客の新しいニーズに応えたいときに有効です。

例:カフェチェーン

カフェチェーンが使っている一般的なプラスチック製ストローを、環境に優しい竹製や紙製ストローに置き換える。これにより、エコフレンドリーなイメージを高め、環境意識の高い顧客層を引きつけることができる。

2.C(Combine)組み合わせる

「組み合わせる」とは、異なる製品やサービスを組み合わせること。このプロセスは、従来にないユニークな価値を生み出す可能性を秘めています。

例:フィットネスとウェルネスアプリ

フィットネス追跡機能と睡眠追跡、栄養管理を組み合わせたモバイルアプリを開発。ユーザーが健康に関する全面的な管理を一つのアプリで行えるようにすることで、利便性を高める。

3.A(Adapt)適応させる

「適応させる」では、既存の製品やサービスを、新しい環境やニーズに合わせて変更することを目指します。このプロセスを通じて、製品やサービスはより広い市場にアプローチできるようになり、新たな顧客層を獲得する機会を得ることができます。

例:電子書籍リーダー

子供向けの電子書籍リーダーに、学校の教科書をデジタル化して読める機能を追加。子供たちが楽しみながら学習できるように、クイズやゲームを組み込む。デジタル化された教材は、視覚的に魅力的で、かつインタラクティブな学習が可能となり、子供たちの理解度と記憶力を向上させることが期待できる。

4. M(Modify)修正する

「修正する」では、既存の製品やサービスに変更を加えることで、新しい価値を創造することを目指します。このプロセスでは、製品の特定の側面を改良することにより、顧客の満足度を高めたり、新たな用途を開拓したりします。

例:オフィスチェア

長時間座っていても快適に過ごせるように、オフィスチェアのデザインを修正。背もたれの形状を人間工学に基づいて再設計し、座り心地を向上させる。

5. P(Put to another use)他の用途に使う

「他の用途に使う」では、製品や資源をその元々の目的以外で再利用することに焦点を当てます。このアプローチは、持続可能性の高いイノベーションを生み出すための効果的な方法として注目されています。再利用することで、廃棄物を減らし、リソースの効率的な使用を促進するとともに、新たなビジネスチャンスを探求することができます。

例:コーヒーかす

コーヒーショップから出る大量のコーヒーかすを、肥料や室内消臭剤として再利用。廃棄物を減らし、環境にやさしいビジネスモデルを構築する。

6. E(Eliminate)除去する

「除去する」では、不要な機能や部品を取り除くことを考えます。シンプルで使いやすい製品やサービスは、顧客にとっても魅力的。このアプローチは、効率性を高めるだけでなく、環境への影響を減らすための持続可能なビジネス実践としても重要です。

例:製品パッケージ

製品の包装をシンプル化し、不必要なプラスチック包装を完全に取り除く。製品の環境への影響を減らし、シンプルながらも魅力的なパッケージデザインで差別化を図る。

7. R(Reverse)再配置する

最後に、「再配置する」では、既存の製品やサービス、プロセスの要素の順序を変えたり、逆転させることで、新しいアイデアを探求します。従来のやり方に疑問を投げかけ、根本から見直すことで、革新的な解決策が見つかるかもしれません。

例:ブックカフェ

通常のカフェと図書館の概念を逆転させ、本を読みたい人が集まる「ブックカフェ」を開く。通常、カフェは飲食を提供する場所として、図書館は静かに本を読むための場所として認識されている。この二つの概念を組み合わせることで、本棚で囲まれたカフェスペースを読書空間として提供し、新しい顧客体験を生み出す。

 

SCAMPER法の使い方手順

SCAMPER法を使うときは、まず、改善したい商品やサービスを明確にします。次に、上記の7つのステップを一つずつ試してみて、どんな新しいアイデアが思い浮かぶかをメモしていきます。その中から、実現可能で革新的なアイデアを選んで、さらに詳しく考えてみましょう。

1. 対象の製品やサービスを選定する

まず、 改善したい製品やサービスを特定します。これは、顧客からのフィードバックに基づくものや、市場での競争力を高めたいもの、あるいは環境に対する影響を減らしたいものなど、さまざまな理由に基づくことができます。

2. 7つのステップを適用する

次に、上記の7つのステップを一つずつ試してみて、どんな新しいアイデアが思い浮かぶかをメモしていきます。

3. アイデアを評価し、発展させる

  • アイデアのリストアップ: 各ステップから生まれたアイデアをメモし、リストアップします。この時点では、どんなアイデアも価値があると考え、可能性を広げることが重要です。
  • 実現可能なアイデアの選定: リストアップしたアイデアの中から、実現可能で革新的なものを選び出します。これには、技術的な実現可能性、市場での需要、コストなどを考慮する必要があります。
  • 詳細な検討: 選ばれたアイデアについてさらに詳細を詰め、実装計画を立てます。必要であれば、プロトタイプの作成や市場調査を行い、アイデアの有効性を検証します。

 

SCAMPER法を上手に使うコツ

  • オープンマインドを保つ: どんなアイデアも、初めは非現実的に思えるかもしれません。しかし、オープンマインドを保ち、可能性を広げることが重要です。
  • チームでのブレインストーミング: 異なるバックグラウンドを持つ人々とのブレインストーミングを通じて、多角的な視点からアイデアを掘り下げていくことができます。
  • ユーザーの視点を忘れずに: 最終的には、製品やサービスを利用するユーザーに価値を提供することが目的です。ユーザーのニーズや欲求を常に念頭に置くことが成功への鍵です。

SCAMPER法は、顧客に支持され続ける事業や商品を生み出すための有力なツールです。この方法を用いることで、複雑化する市場環境の中でも競争力のある革新的なアイデアを生み出し、ビジネスの成功に繋げることができます。

 

 

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