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「新規事業が生まれる組織」を実態調査。bridgeが読み解く、成功企業に見られる5つの特徴を公開

今回スタートするbridge連載企画「新規事業創出の新潮流」では、これらのデータを参照しながら、企業における「新規事業が生まれる組織・仕組みづくり」のポイントを解説していきます。

第1回のテーマは、調査リリースから読み解く「イノベーション診断」の重要性です。

2022年11月にbridgeが公開した「新規事業の創出や組織変革に対する調査レポート(※)」をベースに、国内の新規事業開発状況の実態と、新規事業が生まれる組織に見られる特徴についてお伝えします。

調査に乗り出した理由・背景

経済産業省が平成23年度に実施した「新事業創造と人材の育成・活用に関するアンケート調査」によると、新事業創造の満足度について「満足していない」と答えた企業が78.2%であることがデータによって示されました。

その後10年以上が経過し、国内の新規事業開発の状況はどう変わったのか。今回の調査によって見えてきたのは、それほど大きな変化は見られないという事実でした。アンケートの結果によると、実に68.6%の企業が「新規事業開発に成功しているとは思わない」と答えているのです。

なぜ、国内の新規事業開発は、10年以上の時を経ても状況が改善されていないのでしょうか。ここでもう1つのデータを参照したいと思います。帝国データバンクが2015年に公開した「イノベーションに対する企業の意識調査」からの引用です。

そこでは、イノベーション活動の阻害要因として47.4%の企業が「能力のある従業員の不足」であると回答しています。つまり、組織に属する社員(個人)に課題があるという見方がされていたことがわかります。

一方で、2019年に日本で発売された『両利きの経営』(東洋経済新報社)によると、新規事業には「新たな組織能力の獲得」が必要だと言及されています。

これらの情報を整理すると、社員側の教育や人材育成推進の動きは、各企業で検討がされていると見ることができそうです。では一方で、組織側の変革についてはどうでしょう?

そこで今回、新規事業が成功していると回答した3割の企業の取り組みを調査することで、『両利きの経営』で語られている具体的な「組織能力」が何を指しているのかを解き明かすことを試みました。

以下、調査レポートを読み解いたbridgeの見解を示します。

新規事業の成功企業に見られる5つの特徴

bridgeは2017年の設立以来、継続して企業の新規事業創出の支援を行っています。その経験と照らし合わせても、今回の調査で明らかになったデータ(7割弱の企業が新規事業開発に成功していない)は想像通りのものでした。

他方、興味深かったのは、「自社の新規事業で、将来の主力事業になりそうな事業が生まれていますか?」の質問に対して、35.3%が「そう思う・ややそう思う」と評価した点です。

この結果から考察するにあたり、前提として「新規事業の成功」の定義が各社で異なるであろうことが考えられます。小さな成功事例を1つ生み出せたというものから、今後の主力事業に成り得るものまで幅広く含まれているのでは、ということです。

その中にあって「将来の主力事業になりそうだ」と回答した35.3%の企業を分析することは、本調査における目的、つまり新規事業開発に必要な「組織能力」が何かを紐解くヒントになると考えます。

そこで注目したのが、下記にまとめた5つのポイントです。新規事業が成功していると回答した企業群の特徴がまとめられています。

※詳細な調査データは、こちらからダウンロードが可能 です

ここから読み取れることは、新規事業創出の取り組みに成功している企業は、自社にとってターゲットとなる「領域・方針」を初めに示しているからこそ、主力事業に成り得るほどの新規事業に育っているのでは、ということです。

新規事業に対する「迅速な意思決定」「人材要件の定義と育成方針」が特徴として挙げられているのも、前提として「領域・方針」が明確だからこそ実行可能なのだと推測できます。

言い換えれば、新規事業が主力事業になりつつあると回答した3割の企業は、最初から主力事業への成長を見込んで新規事業開発に望んでいたのではないでしょうか。

経営層が初めから「この領域で新規事業を立ち上げる」と定義し、具体的なゴールを数字として掲げ、そこに対する良いアイデアに対してヒト・モノ・カネといったリソースを充てることができているわけです。

新規事業ターゲットが不明瞭なことによる弊害

関連して、興味深い調査データが下記のグラフに示されています。

今回の調査は、全国の新規事業開発実施企業の正社員20〜64歳男女のうち、従業員規模300名以上の組織の新規事業開発担当者を対象に実施しました。

その中で「あなたの組織において新規事業、イノベーション活動を促進するために特に大切な活動は何でしょうか?」という質問に対し、34.3%の企業が「新規事業への取組の意義や目的を全社で共有していること」と回答したのです。

2位以下に差がついた背景として考えられるのは、それだけ多くの企業で「重要な取り組みだと会社に認めてもらえていない」と感じている新規事業開発担当者が多いからではないでしょうか。

・社内の自主提案は空き時間でやるもの
・新規事業開発に充てた時間は残業が付かない

・本業が忙しいのだからやりたい人だけがやればいい

という認識が社内に蔓延してしまっていては、納得できる活動が十分にできません。実際にbridgeで新規事業開発支援を行ってきた企業のうち、社長や経営層の新規事業に対する熱量が高い企業ほど、新規事業・イノベーション活動に成果が現れています。

イノベーション診断で課題認識を共有する

「新規事業が成功していない」と回答した約7割の企業に対して考えられることは、経営層が正しく課題を認識していないか、もしくは各々の認識がズレてしまっており、取り組みの優先順位付けが正しく行われていない可能性です。

そこでbridgeでは、イノベーション組織の診断ツールとして、下記25項目を「Innovation Index 25」として打ち出しました。

今回の調査で明らかになった新規事業成功企業では、「リーダーシップ」と「目標」のカテゴリにおいて多くの投票数が集まる結果となりましたが、注意が必要なのは、どれか特定の項目のみに着手することや、すべての項目を埋めることが目的ではない、という点です。

重要なことは、新規事業開発における課題について最初に経営陣で議論を行い、それぞれが考える課題の認識を表出させることです。

「Innovation Index 25」のそれぞれの項目に対して「できている・できていない」を付箋に書き出してもらうと、思っていた以上に意見が異なっていることに気づきます。

このステップを飛ばしてしまい、社内提案制度などの手段の部分で議論が行われてしまうと問題が発生します。

具体的には会社からは「良いアイデアがあれば投資します」とメッセージはあるものの、いざその瞬間になると経営陣に却下されてしまったり、組織的な支援が無いままに先細ってしまうようなケースが想定されます。

このような事態を回避するためにも、まずは正しく自社の状態をアセスメントすることをお勧めします。bridgeでは「新規事業における課題整理ワークショップ」を開催しています。現状の組織の状態を可視化し、自社にとってキーになるアクションを特定することにお役立てください。

■調査レポートのダウンロードはこちら

「新規事業における課題整理ワークショップ」サービスのご案内

新規事業を生み出す組織づくりには、プロセス、メソッド、マインドセットの導入と、事業アイデアを育む仕組みの設計、文化醸成など複数の要素と統合的に進めていくことが求められます。一方で多くの組織は、「自社の新規事業を促進・阻害する要因」が何なのか、共通認識をもてないために、何をどのように取り組むべきかを特定できていません。

「新規事業における課題整理ワークショップ」は現状の組織の状態を可視化し、自社にとってキーになるアクションを特定するためのワークショップです。

次年度にむけた取り組みを整理する機会としてぜひ活用ください。

<概要>
対象:組織変革を担うリーダー・メンバー (経営、人事、開発など)
人数:5〜7名
形式:3時間×2回のワークショップ型セッション
費用:70万円(税別)

 <内容>
・「新規事業を生む組織の25要素」にもとづく現状評価
・3年後のゴール設定と、キードライバーの設定
・ゴール実現のためのプロジェクト案の立案

ご相談・お問い合わせはこちら

 

*本調査の情報を引用いただく際は、【調査主体:株式会社bridge】と明記の上、以下のリンクも貼付してください。

https://www.bridgedesigners.com/

*本調査レポートの百分率表示は四捨五入で端数処理を行っており、合計しても100%とならない場合があります。

調査概要

調査名   :「新規事業が生まれる組織づくり」実態調査
調査対象  :
①全国の新規事業開発実施企業の正社員 20~64歳男女
②(①のうち)従業員規模300名以上の組織の新規事業開発担当者
調査期間  :2022年 8月18日 – 8月25日
調査方法  :インターネット調査
調査主体  :株式会社bridge
調査実施機関:株式会社アスマーク
有効回答数 :300名

 

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