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現状の外にあるゴールこそが創造力を最大化する。(インタビュー:コーチ 茂木 健太)

2020.04.20

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本インタビュー企画では、bridgeのメンバー、パートナーが持つ専門性やルーツについて深ぼりしていくとともに、現在進行中のプロジェクトや未来のビジョンについて紹介していきます。

第2回は、ビジョンデザイナーとしてbridgeのプロジェクトに参画している茂木健太さんです。今回のインタビューでは、認知科学に基づいたコーチングや組織開発を通じて様々な組織のビジョン、組織づくりに伴走する茂木さんの仕事について迫ります。

<ポイント>
・コーチの役割とは?
・ビジョン・ミッション・バリューを組織に浸透させる方法
・コンフォートゾーンの外にゴールを描く

コーチの役割とは?

– 茂木さんの仕事や専門性についてご紹介をお願いします。

まず、起業家や経営者、リーダーのコーチとしてコーチングを行い、ビジョンや価値観を明確にして、そこに向けてどんなチャレンジしていくのか、をサポートしていくのが一つですね。
具体的には、定期的にコーチとクライアントの一対一で、1時間ほど話をして、自分の中にある「こうしたい」というゴールを、コーチとして伴走しながら具体化します。そのゴールに基づいて、どんなチャレンジをするのか明確にし、それを踏まえると次のゴールは?と未来のイメージを膨らませていきます。
進捗管理のようなものではなく、ありたい未来の実現に向けてアクションを加速させていくようなイメージです。

– コーチングを受けたことが無い方も多いと思うのですが、実際にコーチの支援を仰ぐような方ってどのような期待をコーチにしているのでしょうか。

 そうですね。相談として多いのは、特に起業家や経営者の方々です。自分が事業を立ち上げていく中で、事業の方向性や組織、人材あり方について、自分の思うことが周りに理解してもらえないケースが多いです。リーダーは周りに助けになってくれる相談相手が沢山いると思われがちですが、実際は「あなたの言うことに従います」という受け身なスタンスになることも多いです。ですから、自分の意志決定や打ち出すビジョンに対して、なかなか周りからの視点や意見が入れられにくい中で、孤独に意志決定をしていることが多く、コーチのサポートを求められます。

– 茂木さんとの対話を通して、自身の中に気づきが芽生えるということでしょうか

コーチングが提供する価値としては、悩みの相談や整理する相手ではなく、本人でもまだ見えてない気づきを起こすことですね。例えば、本人が一番の強みと自覚している部分と、自分ではまだ見えていないけど才能だという部分があって、ほとんどの人は自己認識とずれていることが多いので、そこを明確にします。さらに、ビジョンを実現するために、その人がまだ見えないゴールを広げ、クライアント自身が達成できると信じられるようサポートします。

ビジョン・ミッション・バリューを組織に浸透させる方法

– bridgeとの仕事では、チームビルディングや、ミションやコアバリューを定義するプロジェクトで支援頂いていますが、茂木さんとして直近のプロジェクトはどのようなものがありましたか?

そうですね。今お話ししたのはコーチングについてなのですが、そのクライアントは組織を持っているので、描いたビジョンやミッション、バリューを周りにどんどん共有していく必要があります。その一つとして、直近ではエンターテイメント系の会社の未来を考えるプロジェクトをやっています。その会社は既存事業が伸びていたものの、競争相手が増え、市場も飽和してきて、これ以上伸びにくい状態でしたが、会社の今後の方向性についての話はあまりされていませんでした。

そこで、経営陣一人ひとりにコーチングをし、どういう会社にしていきたいかという方向性を出し、共有していく経営会議を行い、会社のビジョン ミッション バリューをアップデートしました。
その後、経営陣がまとめた方向性に対して、それを広げていく活動に関わりたい人や自分なりの想いを込めたい人を有志で募ってプロジェクトチームを作り、現場の意見も踏まえてビジョン・ミッション・バリューをブラッシュアップし、体現するための施策を自発的に生み出していく仕組みをつくりました。

例えば、ビジョン・ミッション・バリューの実現に向けて実践していることを、社内ポータルサイトでブログ記事にすることで、その小さなアクションがシェアされていき、従業員が変革の主役なんだという雰囲気が生まれています。他にも、会社の十周年のタイミングで、ミッション・ビジョン・バリューを体現する象徴的なイベントをやろう!ということで、イベント企画チームが結成され、周りを巻き込んで進めています。分散的に展開していくこの活動そのものがビジョン・ミッション・バリューを広げていると感じます。

– 有志メンバーを集めてやっていくことの意味、価値はどのように捉えていますか?

僕が大事にしているのは、まず有志にすることで、各自が主体的に選択している文脈を作ることです。トップは自分がやりたいと思うこと“want to”に基づいてビジョンを作ったとしても、トップダウンで浸透させようとすると、現場に展開するにあたりやらなくてはいけないこと“have to”にすり変わり、形骸化してしまうことがほとんどです。ビジョンを策定するプロセスに参加していないと、背景や想いがなくコミットが生まれないので、自分がそこに参加する文脈を作ることを大事にしています。

コンフォートゾーンの外にゴールを描く

– 大手企業とベンチャー。コーチングの観点から感じる両者の違いはなんですか?

コーチングは、現状の延長を超えたゴールを描いて達成していくアプローチなので、現状維持の志向が強すぎる組織だと、本人たちが変わりたいと思っていても、変わる必然性とコミット度合いを持ちにくいことが多いです。新しいことにやっていくときの力と既存を維持する力を比べたとき、既存の力が凄いとなかなか難しいですね。一方で、未来を作っていこうする力が強い会社は、関われば関わるだけ組織の進化のスピードが早い。

 

なのでベンチャーやスタートアップ企業、大企業でも新規事業部門との相性が良く、必要とされているのだと感じます。大きな会社や古くからある会社は、全社的な新しい事業への挑戦やトップの交代など大きく変えてくぞ!というコミットがある場合に変革を起こしてきています。

– 今、コロナウイルスによって仕事のあり方が問い直されるタイミングに来ていますが、これからまさに未来をもう一度しっかり描き直す必要性が出てきているかもしれませんね。

「現状の延長を超えたゴールを描いて達成していきましょう」と、ずっと言い続けていますが、世の中が安定している(と思っている)時は、そうは言っても「現状維持(コンフォートゾーン)でいいじゃない」っていう思考が意識・無意識にありがちです。
ですが、今、全世界的な危機が起きているので、これまで現状だと思い込んでいたコンフォートゾーンがどんどん破壊されていき、現状維持すらままならなくなってしまっていると言えます。
現状のコンフォートゾーンに戻す力が働くと、新型コロナウィルスの影響が収集すると、アフターコロナっていうのはビフォーコロナに戻すこととなりがちですが、僕はそうじゃないと思います。これまでは会社に行ってみんなでオフィスで働くことが当たり前でしたが、今はリモートワークが増えてきたことによって業務の中で価値のある仕事とない仕事があらわになっていると思います。このような状態を体験して、新型コロナウイルスの影響が落ち着いた時、前と全く同じような状態に戻るのではなく、そうじゃない新しい生き方、働き方を作っていくことになると思います。

なぜ「コンフォートゾーンの外にゴールつくる」ことが重要なのでしょうか。

そうですね。これまでは自分らしくあるとか、自分たちが大事にしてることを明確にして、それにしたがって生きていきましょう、企業活動していきましょう、というコーチングが多かったように思います。確かに、らしくないことやるよりはらしいことをやった方が人の組織もパワーが出るのでやった方がいいのですが、それに留まってしまうと自分らしくあるから今のままでいいという考え方になりやすいです。
これは僕のコーティングの特徴でもありますが、勿論自分らしさは生かしつつ、敢えてビジョンやゴールを現状の延長を越えたところ、つまりコンフォートゾーンを越えたところに描いていきます。これは自分たちらしさに基づいているのでやりたいと思えるからこそ、そのゴールにチャレンジして行けますよね。個人も組織もそこに向かっていくことでエネルギーと創造性が最大に発揮されるし、終わりなく変化を続けることができると考えています。

これからのリーダーシップ、そして組織のあり方とは?

誰もがこうすれば確実にいけるということが、ますます描きにくくなってきています。新型コロナの収束も分からないし、その先がどうなっていくのかも定かでない中、リーダーとして求められるのは、まず自分がどういう生き方で、どういう社会、どういう会社、どういう組織を作っていきたいのかということを描き、お客様や業界など組織に関わる方々をビジョンに巻き込んで一緒に達成していくことです。これは単にビジョンを描いてみんなを引きつれて進むというイメージではなくて、描いたビジョンやゴールを環境の変化に応じて、関わる人たちと相互作用しながら動的に変容させ続けるという感覚です。
具体的には、まずゴールを一つに決めるのではなくて複数のゴールを作ります。どの事業が有効なのかは環境によっても変わってきます。反対に、最初から選択肢を一つに決めて石橋を叩いて進んでも、前提が崩れ去ってしまったらまた振り出しに戻ってしまうので、あくまで未来の可能性として複数の展開を描いておく。柔軟に変わってOKっていう前提の共有がいりますよね。すぐ朝令暮改だとか変わっちゃうみたいに言われるけど、変わっていい、変わるのが当然ということなんです。

これまでの、明確な目標を決めて達成していくマネジメントからすると、ギャップを感じると思いますが、比較的直近の確実性の高い目標に対するマネジメントは変わらず行います。並行して、中長期で見た時には複数の可能性っていうのを描いて環境によって変化していくということです。

あとは組織のマネジメントの観点でいうと、リモートワークが増えていくということにも繋がるのですが、細かく指示しないと動かないのではなく、組織に関わる方がビジョン、ゴールの方向に向かって自律的に動いているようになることがもっと求められていくので、そのためにメンバーの個性や才能を引き出したり、メンバーが提案をしやすい組織を作っていくことがとても重要だと思います。

 

プロフィール
茂木健太 (facebook)

大手コンサルティングファームで、IT、組織・人財開発コンサルタントとして活動した後、 2015年にIdeal Leaders株式会社を共同創業。2018年 Co-Creations株式会社を設立。 個人の強み・価値観が最大に活きる、「自立と協働」によるCo-Creation(共創)に溢れる組織づくりや、ビジョンの構築と実現のサポート、経営人材の育成を多数実施。 「人と組織の進化を創る」ために、心理、思考、身体のあらゆるメソッドを使いこなす。

 

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