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顧客課題と提供価値を整理する「バリュー・プロポジション・キャンバス」の使い方

2020.05.02

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顧客課題と提供価値を整理する「バリュー・プロポジション・キャンバス」の使い方

目次:
1. バリュー・プロポジション・キャンバスとは?
2. ビジネスモデルデザインの土台となる”3W1H”を定義する
3. バリュー・プロポジション・キャンバスの使い方と事例
4. バリュー・プロポジション・キャンバスの使い方手順
(1)キャンバスを書く
(2)課題の優先順位をつける
(3)提供価値の優先順位をつける
(4)3W1Hを文章で明文化する
5. バリュー・プロポジション・キャンバスの次にすべきこと

1.バリュー・プロポジション・キャンバスとは?

「バリュー・プロポジション」とは、日本語に訳すと「価値提案」となりますが、ビジネスデザインにおけるこの価値提案とは、「顧客のニーズに対して、自社/自分の強みを生かして提供できる価値」と捉えます。
その上で、既存の商品や、他の代替手段ですでに解決されていない領域を定義します。

バリュー・プロポジションは、何か新しい事業や商品を企画しビジネスとして成り立たせていくうえで、①未解決の顧客のニーズに対して②自社/自分が提供できる価値を定義し、③既存の商品や、他の代替手段ですでに解決されていない領域を見つけ出す、一番最初に定義すべき最も重要な要素になります。

顧客のニーズと自社/自分が提供すべき価値を6つの項目で整理し、定義するフレームワークが、今回ご紹介するバリュー・プロポジション・キャンバスです。

昨今のEコマースやSNSの普及により、顧客が自社/自分の商品を知り、購入し、使い続けていく購買行動のプロセスが複雑化し、消費者がより自分に合った商品を、自分が好むスタイルで購入することができるようになりました。
そこに、機能的な価値、デザイン的な価値、その商品を得ることによって実現する意味的な価値をしっかりと定義し、正しく訴求していくことができれば、個人や小規模事業者でも、顧客に支持されつづける事業・商品を創ることが可能です。

2. ビジネスモデルデザインの土台となる3W1Hを定義するー

バリュー・プロポジションを定義する際には、
1. 誰の(Who)
2. どんなシーンでの(When)
3. どんな課題を(What)
4. どのように解決するのか?(How)
3W1Hを明文化していきます。

例えば、
・スターバックス
・ルノアール
・ブルーボトルコーヒー
これらはどれもカフェですが、全く異なる3W1Hで訴求し、それぞれ異なる顧客層を獲得しています。
同じカフェでも、なぜ顧客がそのお店にいくのか?商品を選択するうえでその理由は様々です。
そこには、コーヒーの味や品質、店舗の居心地、ブランドデザインなど、様々な訴求ポイントがあります。

ビジネスモデルを描く際に、ついあれもこれもと多角化し、小さな価値でハリボテになった何の特徴もない商品に仕上がってしまうという罠に陥ってしまうことはないでしょうか?
また、つい儲かっている競合の調査をし、結果そのコピーができあがってしまうことがありますが、そこにもっとも重要である「顧客が自社/自分の商品を買う理由」が欠如しれいれば、顧客に支持され続ける商品として持続させるために価格を下げる以外の手段がなくなってしまい、結果的に価格競争の中で利薄な商売に苦戦せざるを得ない状況に陥ります。

商売の本質は、「欲しくさせる」のではなく、「欲しいものを提供する」ことが大前提なはずです。
顧客の痛みに寄り添い、自社/自分がどのような価値を提供できるか?のアプローチでビジネスを創造していくことは、広義な意味でのマーケティング活動の重要なポイントになります。

ビジネスモデルをデザインするうえで、この「バリュー・プロポジション」は建築に例えれば地盤や土台になる核の部分であり、これを間違えると、どれだけ斬新なソリューションアイデアがあっても、顧客に支持されるづけるビジネスを実現することは難しくなります。
今回は、バリュー・プロポジションを明文化し、ビジネスの正しい土台を作るフレームワーク「バリュー・プロポジション・キャンバス」について解説していきます。

3. バリュー・プロポジション・キャンバスの使い方と事例

バリュー・プロポジション・キャンバスでは、
・顧客の課題(右の丸枠)
・提供価値(左の四角枠)
のそれぞれ3項目をできるだけ多く書き込み、顧客にとって最も重要な未解決の課題に絞り込んでいきます。

といっても、なかなかすぐにイメージが湧かないかもしれませんので、ひとつ例をご紹介します。

【これまでにない女性専用フィットネスクラブ 】
国内店舗数2000点、25万人の会員数を誇る女性専用のフィットネスクラブの「カーブス」。
・No Mens(男性なし)
・No Mirror(鏡なし)
・No Makeup(化粧不要)
の3つのNoをコンセプトとして徹底し、今なお中高年女性を中心とした顧客に支持され続けています、
さて、カーブスは、どのような3W1Hを実現させたのか?見てみましょう。

もしカーブスが競合他社の真似をしていたならば、男性なし・鏡なし・化粧不要というコンセプトには至らなかったはずです。
また、最も注目すべきは、「安い・便利」といった機能的な価値だけではなく、対象顧客の情緒的欲求つまり、「心の声」に応えるソリューションを実現させています。
「男性の目にさらされる恥ずかしさ」「変わらない体型を直視しなければならない精神的ストレス」「身だしなみに気を使う手間」といった、言語化されていなかった中高年女性の情緒的ニーズを的確に捉え、これまでにないコンセプトのフィットネスクラブをソリューションとして提供したことでビジネスが大成功しました。

さて、同じ「ダイエット」というソリューションでも、どのような3W1Hを捉えるかによってソリューションも全く違ったものになります。
以下2つの事例も見てみましょう。

「寝るだけダイエット」

「ライザップ」

これらのダイエット支援のサービスは、誰のどんな課題に対し、どのようなソリューションを提供しているでしょうか?

4. バリュー・プロポジション・キャンバスの使い方手順

(1)キャンバスを書く

前述の通り、
・顧客の課題(右の丸枠)
・提供価値(左の四角枠)
の各3項目を埋めていきますが、

-顧客の課題
①嬉しいこと
②嫌なこと
③実現したいこと・解決したい課題
-提供価値
④嬉しいことを増やす
⑤嫌なことを減らす
⑥商品/サービス

の順に書いていきます。

②と③、④と⑤については、どちらに書くべきか悩むことが多いですが、嬉しいことと嫌なことは得てして相反するため(例えば、出費を減らす(嬉しい)⇄出費がかさむ(嫌)のように)どちらに書き込むかはさして問題にはなりませんので、まずは思いついたことを書き出していきましょう。
コツとしては、「嫌なこと」つまり、痛みや悩み、困り事といったネガティブな課題にフォーカスすることで、より強いニーズを見つけ出すことができます。
なお、アイデアは直接キャンバスに書き込むよりも、ポストイット(横長)に書いて貼っていくと後に整理しやすくなります。

そしてこの際に、”誰”のための課題解決か?という前提から外れないように注意しましょう。
アイデアを量産することに意識が向き、誰のための課題整理なのか?がつい曖昧になってしまいがちになるため、常に根本に立ち返ってみてください。
“誰”を想定するうえでは、自分と似た属性の人や、具体的にイメージできる実在する人をイメージしてみると、アイデアが出やすくなります。
また複数人のチームでアイデア出しをする場合は、議論しながら”誰”のイメージを描いていくこともできます。

(2)課題の優先順位をつける

顧客の課題(右の丸枠)の3枠を埋めたら、それぞれを「顧客の視点での重要度」で優先順位をつけていきます。
図のように、ポストイットを上から下に並べていくやり方が手軽です。
なおこの際に、つい「こんな課題を持っている人は多そう」という視点になってしまいがちですが、このときにも、”誰”を意識することを忘れないようにしてください。

(3)提供価値の優先順位をつける

顧客の優先度の高い課題に対して整合しているかの「貢献度」と、すでに世の中に存在するソリューションアイデアではないか?の「新規性」の二軸で優先順位をつけていきます。
ユニークなアイデアであっても、顧客の優先度の高い課題に整合していなければ優先度は低くなりますし、顧客の優先度の高い課題に整合したアイデアであっても、すでに世の中に存在するソリューションであれば、優先度は低くなります。
ただし、アイデアとアイデアの組み合わせで新規性がもたらされることもよくありますので、議論しながら優先順位をつけてみましょう。

なお、アイデアの優先順位を考えている中でさらに新しいアイデアが湧いてくることもあります。
顧客の課題に対して貢献度・新規性が高い新たなアイデアが出てきたら、それらも追加していきましょう。

(4)3W1Hを文章で明文化する

顧客の課題と提供価値の優先順位の高いものをピックアップし、
1. 誰の(Who)
2. どんなシーンでの(When)
3. どんな課題を(What)
4. どのように解決するのか?(How)
を文章に落とし込みます。
この段階までくれば、自分たちの新事業/新商品の方向性が明確に見えてくるはずです。

5.バリュー・プロポジション・キャンバスの次にすべきこと

ビジネスを創造していくうえで、不可欠な3つの検証ポイント
(1)Customer Problem Fit(顧客は本当にその課題を持っているか?)
(2)Problem Solution Fit(その課題に対し自分たちのアイデアは妥当であるか?)
(3)Product Market Fit(その商品の市場は存在するか?)
のうち、バリュー・プロポジション・キャンバスで定義した仮説をベースに、(1)(2)をリサーチしていきます。

定義した課題を持つ属性の人へのインタビュー(ユーザーインタビューやグループインタビュー)、その領域の専門家へのエキスパートインタビューなどを行うことが一般的です。
その過程で、バリュー・プロポジション・キャンバスを書き換え、仮説の精度をより高めていくことを繰り返します。

ビジネスモデルデザインに関する全てのフレームワークに共通して言えることですが、得てして、フレームワークを行うことがゴールになってしまいがちです。
しかし、フレームワークはあくまでアイデアを整理するツールに過ぎません。
バリュー・プロポジションをしっかりと築いていくうえでも、仮説・検証を常に繰り返し、「正しい問い」を追求していくことが不可欠です。

バリュー・プロポジション・キャンバスは、裏紙やホワイトボード、ポストイットがあればいつでもどこでも気軽にアイデアの整理ができます。
ぜひ日頃からフレームワークに当てはめて仮説を立ててみる、という習慣を付けてみてください。

こんな苦難の時代ですが、ぜひ、誰かを幸せにできる、ワクワクするビジネスを創っていきましょう。

bridgeでは、リーンスタートアップやデザインシンキングの手法を組み合わせた、ユニークなプロジェクト設計とファシリテーションで、新規事業の創出やイノベーション人材育成のためのプログラムを提供しています。
柔軟に対応させていただきますので、まずは下記のお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。

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