TOPICS

blog

“個の想い”から始まる、創造的活動の意義

“個の想い”から始まる、創造的活動の意義

bridgeのビジネスデザイナーが考える「自分起点」なモチベーションの重要性

2020年初夏から日本各地で続いていた、新型コロナウイルス感染防止のための長い自粛期間が徐々に明けつつあります。新しい日常「ニューノーマル」を生きる今、自分の内面に目を向ける機会も多いのではないでしょうか。

この記事では、bridgeのビジネスデザイナー鈴木 郁斗が、アメリカで自分のやりたいことに向き合った日々と、そこから生まれたアントレプレナーシップや組織文化に対する思い、教育とビジネスのいいフィードバックなどについてインタビューしました。

厨二病がアメリカで起業して気付いたチャレンジマインド

Q これまでの仕事のヒストリーを教えてください。

鈴木:新卒では航空宇宙エンジニアとして、飛行機や宇宙機器の設計をしていましたが、海外で仕事をしてみたくて、26歳のとき周りの反対を押し切ってアメリカ ロサンゼルスへ渡り、そこで起業しました。元々は理系なので、経営の知識も情報も皆無。何をしたらいいかも分からない状態でしたが、現地の学校で資格を取って、仕事を見つけようという本当に軽い気持ちでした。

Q 航空宇宙エンジニアって、すごく華やかなキャリアに見えますが、それとはまったく畑違いの分野に挑戦したのはなぜですか?

鈴木:日本で社会人になって5年目、良くも悪くも社内にいたら道が決まっていて、このままでいいのかなと疑問に感じるようになりました。そもそもなぜ海外で仕事をしたいのか考えてみると、小学校5年生のとき、地元新聞社が主催するアメリカ中西部へのホームステイプログラムで初めて海外に行ったんですが、そのときのインパクトが大きかったことに気づきました。初めての海外で、言葉や文化の壁を超えて現地の人たちとコミュニケーションを取ることが楽しくて、それからずっと海外、アメリカが意識の中にあったんです。

エンジニアの仕事は楽しかったしやりがいも感じていたんですけど、やっぱり海外で働いてみたい、自分のカッコイイキャリアを作りたい。そのために『違うキャリアにチャレンジするなら、今しかない!』と思い、部署異動のタイミングで会社を辞めてアメリカに渡ることに決めました。いわゆる厨二病的ノリです(笑)。

それが、2009年。当時のアメリカはリーマンショック直後で、見るからに景気が悪く、西海岸もビルも空き部屋ばかりでした。でも、前の職場の仲間から壮大な壮行会をやってもらった上に、『アメリカで一旗揚げてあげてくるぜ!』と、めちゃめちゃビックマウスで来たのに今さら帰れないというプライドもあって、とにかく自分ができることで、何かお金を作れることがないか、本当にいろいろなことをやりました。

最終的に落ち着いたのは、留学を現地でサポートするサービスです。現地の旅行代理店でタダ働きをしていたとき、『日本の大学の教育プログラムの相談が来てるんだけど、キミやってみない?』と声をかけてもらったことがきっかけでした。それで、日本の教育機関や企業の教育プログラムを作り始め、それがありがたいことに軌道に乗り、2010年にMELSA INTERNATIONAL LLCという会社を作り現地の労働ビザを取得しました。

当時、アメリカの教育研修のトレンドは、単なる受け身の視察ではなくて、能動的な実践型のスタイルがメジャーになっていて、シリコンバレーでも人気がありました。そこで、実際に事業を作るプログラムを作り、現地のネットワークを生かしながら6〜7年運営していました。

プログラムを作りながら自分自身も勉強していると、シリコンバレーの起業セオリーやマインドセットが、自分のやってきたことと、後付けではありますがリンクすると気づいたんです。やりたいことや情熱、好きなことをどのようにビジネスにつなげるのか、自分の今までの経験や知見をいろいろな人に伝えられるのではと思い、教育の文脈でもアントレプレナー研修を始めました。そうこうしているうちに、bridgeの代表取締役である大長と知り合い、一緒に仕事をするようになって、現在に至ります。

大学生グローバル起業家育成プログラム in シリコンバレー(2019年)

仕事の楽しさを伝えて、ワークライフバランスを問題解決したい

Q この3年は、bridgeと自分の会社であるメルサ・インターナショナル・ジャパンを行き来しながら仕事をしてますよね。

2つの環境を行き来するからこそ見えてきた、テーマや発見などはありますか?

鈴木:海外での起業の経験はbridgeの事業領域とは一見関連がないですが、海外で働くことで得られた多様性は役立てられたらいいなと思っています。例えば、『これが嬉しい』『嫌だ』『こういうときに幸せ』といった、人間の情緒的な部分は、サービスデザインに欠かせませんよね。それは、文化的背景や言語、宗教が違っても普遍的なものなので、ある意味で大局的に見ることができているように感じています。

現地生活者との共創による事業創造プロジェクト in クアラルンプール(2019年)

鈴木:また、メルサでは大学生や高校生を対象としたプログラムも運営しているので、教育とビジネスを行き来することで、良い相互作用を与えられることもよくあります。

ビジネスの社会で今起こっていることや潮流を常にキャッチしているので、その感覚や知見は、教育の現場でも生かせています。逆に、普段、企業向けに提供している事業創発のプログラムを学生向けにやると、制約がない分、すごく面白いアイデアや、僕ら大人が思いつかないような斬新な発想があったりするんですよ。若い世代の感覚や考え方を、僕自身が学生から学ぶことも多いです。

そんな教育現場での発見やアイデアも、bridgeに還元できたらいいなと常々思っています。

Q これから自分が実現したいこと、bridgeとしてサポートしていきたいことはありますか?

鈴木:個人としても、bridgeとしても、自分の原体験から、自分のやりたいことは必ず実現できると思っています。自由に生きることを表現できるし、それを原動力に、『仕事って楽しくなる、自分で楽しくできる』ことを伝えたいと思っています。

働き方の多様化が叫ばれ、やりたいことをやって生きるライフスタイルを送っている人も、少しずつ知られる世の中になってきましたよね。でも、個人的には『実際に自分の人生を生きている人は、どれだけいるんだろう?』と疑問に思っています。例えば、朝の通勤電車は殺伐としていて、どんよりしてるじゃないですか。理想論かもしれないけど、人生の半分以上の時間を使う仕事が楽しくないって、もったいないと思うんです。このまま終わりたくない、もっと華やかなこと、楽しいことをやりたいっていう欲求って、人の心の中にあるはずで、それが何か新しいことを起こす源泉になります。そんな欲求を、一人ひとりが意識できて、動き出せるように後押ししたいですね。

イノベーションも同じで、『なぜ自分がやりたいのか?』という強い課題意識が何より原動力になります。そのような内に秘めたものを、もっと表現していける組織づくりに貢献したいなと思います。

イノベーションや新規事業創出は、思いや情熱、やりたいことを実現する手段です。それに、何より楽しい。自分が考えたアイデアが商品になり、事業になって、人の役に立って対価をいただく体験はとても楽しいです。その楽しさややりがいを、伝えていきたいなと思っています。

 

関連記事:今こそ知っておきたい、0→1に不可欠な「アート思考」とは?

Share

Recommended