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事業のアイデアは自分の中にある ICC登壇の裏側に迫るインタビュー

2020.10.01

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働き方に正解なんてない時代。個人のやりたいことを起点に仲間とコラボレーションする、場所や所属にとらわれない働き方が当たり前になる時代は、すぐそばに来ているのかもしれません。

本インタビューでは、「ありふれた」サラリーマンだった当社ビジネスデザイナーの鬼海翔が、自身の想いからスタートアップを立ち上げ、ICC登壇に至るまでのキャリアと心境の変化についてインタビューしました。

|登壇して感じた、ICCが愛される理由

親子で一緒に食べられる幼児食宅配サービスhomealは今年1月にサービスを開始、9月1日にICCサミットKYOYO スタートアップ・カタパルトに登壇しました。ICCサミットのスタートアップ・カタパルトとは、シード/アーリーステージのスタートアップを対象に、第一線で活躍する経営者・幹部・投資家・プロフェッショナルで構成される審査員に対して1社あたり7分間のプレゼンテーションを行うプログラムです。
実際に登壇して感じた当日の会場の雰囲気や、登壇までの経緯について聞きました。

Q. ICCでの登壇お疲れ様でした。実際に参加してどうでしたか。

いやもう参加してめちゃくちゃ良かったです。

登壇したからこそ、スタートアップの起業家や投資家、事業会社の第一線で活躍されている方々と繋がりを作れたのはもちろん、オフラインのイベントだからこそ感じる主催者の覚悟や学びがありました。

ICCでは人生をかけて挑戦するスタートアップの登壇者をチャレンジャーと呼んでいるのですが、会場ではピッチが始まる前に「挑戦者に拍手を!」と呼びかけがあり、会場中からスタンディングオベーションがあったんです。大きな会場の全員が拍手を向けてくれるというのは、オンラインでは到底感じ得ない五感の震えというか、本当にブルっときましたね。ICCのような場や事業を作るのは人の想いなんだと改めて胸を打たれましたし、その想いこそが数あるスタートアップイベントの中でもICCが愛されている証拠なんだと感じました。

 

Q. スタートアップ・カタパルトにはどのような経緯で登壇が決まったのでしょうか。

最初はまさか出られると思っていなかったので、エントリーするつもりも全然なかったんです。むしろエントリーが始まっていることすら知らなかった(笑)。たまたま知り合いから「チャレンジしてみたら?」と声をかけてもらい、チャレンジするだけしてみようと応募したという、すごく受け身なスタートでした(笑)。エントリーした当時はβ版のサービスを開始して3-4ヶ月の頃だったので本当にバタバタしていましたね。

今回登壇をした14社の中には既に実績を積んで数億円規模の資金調達をしているスタートアップがゴロゴロ選ばれていました。そんな中homealを登壇者として選んでくれた理由は、おそらく「誰にどんな価値を提供できるか」Who とWhatのビジネスアイデアが明確だったこと、そして「なぜやりたいのか」Whyの原体験が一貫していることだと思っています。僕らでいうと、子どもの食事、そこに付随する社会課題を解決しようとしている姿勢やユニークな戦略が評価してもらえたのかなと思います。

ICCに限らず他のピッチコンテストに登壇した時にも、結果的に審査を通っているスタートアップの共通点は「一つ一つの事業の価値が確かにあると感じられる」ことだと感じます。これは企業内の新規事業コンテストでも全く同じことが言えますね。

模索しながらみつけた、自分が燃えられること

Q. 起業するまでの仕事のヒストリーを教えてください。

自分で起業をすることが選択肢に入るようになったのは30歳を過ぎてからでした。

学生の頃は、周りの起業した友達を本当にすごいなと、ただただ尊敬する気持ちで見ていて、そんなこと自分にできるなんて全く思ってなかったです。大学三年生のとき就職活動にあたり改めて自己分析をしていくと、何にもないんですよね。ただ、野球頑張ってました、サークルの代表やってましたという、どこにでもいるような経験・スキルしかありませんでした。そんなとき、ある一冊の本と出会いました。マザーハウス代表の山口絵理子さんの『裸でも生きる』という本です。マザーハウスは、当時の最貧国バングラデシュで、現地の素材と職人の力で世界に誇れるブランドを作るという理念で立ち上げられた会社。その代表である山口さんの本を読んで、「特別な専門性やスキルがなくても、自分のこうしたいという想いから事業や会社って作れるんだ。そういった人のことを社会起業家っていうんだ」と、そのとき初めて知り、シンプルに社会起業家ってカッコイイなと思ったんです。自分もそうなりたいと思い、卒論は「社会起業家を日本で増やすには」というテーマで書きました。

『裸でも生きる ~25歳女性起業家の号泣戦記~』(山口絵理子 著)(講談社)

日本で、ひいては自分ですが、どうしたら社会起業家を増やせるのか、考えても当時は道筋すらわかりませんでした。卒論なのに結論出ず(笑)。そんな中でも20代は修行だと思い、前職のワークハピネスという会社に入りました。ワークハピネスでは、組織を現場から変える、チェンジエージェントという仕事を通し、人材開発や組織開発について専門性を高めていきました。

2015年ごろになると、ダイバーシティやグローバルというトレンドに代わり、イノベーションという言葉が世の中に増えていきました。当時の自分は「クライアントの人材や組織をいくら一時的に元気にしても、事業そのものを強くしなければ良い会社には変えられない」という課題意識から事業開発に興味を持ち始め、クライアントの新規事業開発と社内起業家育成に特化したニッポンイノベーター塾という社内新規事業を2016年に立ち上げました。それが私にとって1回目の起業みたいなものです。

社内新規事業を通して、スタートアップを立ち上げること、それがどうあるべきかという方法論を学び、またクライアントの新規事業を支援者側として何度も体験したことから「自分の力でスタートアップをやりたい」という想いが徐々に芽生えました。

その頃から、自分が起業するとしたら何をしようか、iPhoneのメモアプリに50個ほどのビジネスアイデアを書いていきました。
単純に「儲けよう」という考えだけだったら投資家からの資金調達や市場規模を意識した商材やビジネスアイデアを選んでいたと思います。
でも、それでは私自身が燃えられないなと思ったんです。いくら売上や社会的な認知が高まろうが、自分自身がそのサービスに誇りを持てていなかったり、誰かのためにというエネルギーがなかったら自分は頑張れないなと。そういう意味で、当時の自分にとって子どもの肌の病気や食事のことは一番自分ゴトで解決したいと思えたので、幼児食というジャンルを選びました。

Q. 2020年1月のサービス開始から今まで、どのように事業を進めてきたのでしょうか

初期の最優先事項は、幼児食という言葉自体が社会に認知されていない現実がある中で「そもそも幼児食のニーズがあるのかどうか」を検証することでした。なので、クラウドファンディングをテストマーケティングの目的で活用しました。そこで仮説とユーザーの抱えている課題がほぼ一致したので、今年2020年1月からオンラインストアでのβ版サービスを開始しました。

次の課題としては、ターゲットとするお客さんが「他社の宅配サービスや冷凍食品ではなくhomealを本当に選んでくれるのか?なぜ選んでくれるのか?その理由は何か?」を明らかにする必要がありました。そのために少量で生産を始めて、実際にお届けし、フィードバックをもらい、お客さんのニーズにフィットするよう改良を重ねました。

homealのアドバイザーである冷凍食品コンサルタントの西川氏(左)と鬼海(右)

そんな中で、2月末から新型コロナウイルスの感染が拡大し、政府から学校の臨時休校要請が出されました。今でも覚えているのですが、2月27日の夜7時ごろの発表で、これは大変なことになるなと思いました。今までは、平日は子どもを預けて仕事に集中できる時間があったけれど、子どもが1日家にいるとなると、一緒に遊んだり、子どもの食事を三食、おやつも含めて準備していたら、一日あっという間に過ぎてしまいます。自分自身も一人の親として不安に思いましたし、homealのお客さんにとっても大きな問題だと思いました。休校要請の発表から数時間後、夜中の2時頃にhomealの無償提供プログラムの開始をプレスリリースで発表しました。

無償提供プログラムでは300世帯へ900食分のhomealをお配りしました。サービス開始から1ヶ月での無償提供プログラムはもちろん経営上大赤字になりますが(笑)、子どもの栄養や健康に関わる不安をなくし、子どもとの大事なひとときを増やすことを事業のミッションにしている以上、何もやらないという選択肢はありませんでした。逆にいうと、当時の僕らには商品を届けることしかできませんでしたが、それによって多くの学びが得られました。

プログラムに申し込んでくれた方からのアンケートや実際の声を聞いてみると、子どもの栄養管理や幼児食についてやはり非常に大きな課題があることが明らかになりました。お客さんはただ子どもが食べられるごはんが欲しいのではなく、その裏側には、好き嫌いや偏食やアレルギーなど、子どもの食事に関してものすごく深くて痛いパーソナルな悩みがありました。この無償提供プログラムの反響と結果から「自分たちのサービスは子どもの食事に悩みを抱える多くの人を助けられる」と仮説が確信に変わりました。この確信をサービスに実装する動きを始め、9月にリニューアルしたサイトでは幼児食診断やカスタマイズ機能、定期便を始めています。

Q. homealの展望とbridgeで今後やっていきたいことを教えてください。

homealは年末から来年にかけて資金調達やマーケティングにも本格的に力を入れ、「幼児食=homeal」という第一想起を獲得する強いブランドに成長させていきます。

自分の会社を持ちながらbridgeにもジョインしているのは、起業という体験で得られている経験や自分なりに大事だと思ったノウハウが、現役起業家という珍しい立場から私たちのクライアントに貢献できることが多々あることを実感しているからです。平凡な家庭で育ちサラリーマンとして働いていた自分が、スタートアップとして事業を立ち上げた。それは決して特殊な才能があるとか育ちが違うとかそんなことは何一つなくて、勇気と情熱さえあれば誰でも踏み出すことができる。それを自分自身で証明することで、より多くの人へ一歩踏み出す勇気を与えることができる。そう思っています。

[Plofile]
鬼海翔
自動車・家電・飲料・金融等の大手企業クライアントを中心に次世代リーダー育成や組織変革のプロジェクトを推進。2016年にイントラプレナーとして社内新規事業の立ち上げ及び事業統括に就任。事業創造コンサルティング部門の責任者 兼 ビジネスデザイナーとして、約50社及び100件程の新規事業/インキュベーションを支援。2019年に “親子で一緒に食べられる幼児食宅配サービス” を展開するhomeal株式会社を創業し、フードスタートアップの起業家としても活動中。

bridgeでは鬼海をはじめとするビジネスデザイナーが伴走する、新規事業の創出や既存の事業の成長、イノベーション人材育成、組織変革に対するコンサルティングサービスを提供しています。
まずはお問い合わせフォームから、お気軽にご相談ください。

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