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本インタビュー企画では、bridgeメンバーの持つ多種多様な能力やルーツを深堀りするとともに、現在進行形のプロジェクトや未来への展望について紹介します。
第5回は、2020年10月に合同会社grayblueを創業し、2021年3月からbridgeに参画した、クリエイティブディレクターの村上雄紀です。
クリエイティブディレクター 村上 雄紀
2013年に新卒でリクルートに入社。結婚情報誌ゼクシィの広告制作、新規事業立ち上げ、式場・ホテルの商品開発・空間リノベーション・サービスデザインを推進。2020年から外資系クリエイティブエージェンシーR/GAにて、大手企業を中心にブランド起点での新たな事業開発を支援。デンマークのビジネスデザインスクールKAOSPILOTへの短期留学経験など、個人の創造性を事業創造に繋げるための教育をテーマに活動中。
大学を卒業後、新卒採用でリクルートコミュニケーションズに就職しました。ブライダル領域に配属となり、結婚情報誌ゼクシィの広告ディレクターを経て、自社サービスの開発、新規事業の立ち上げなどを経験します。
事業をするうえで「教育」と「グローバル」をテーマに考えていた私は、後に会社の制度を利用して1ヶ月の休みを取り、デンマークにあるビジネスデザインスクール「KAOSPILOT」の短期プログラムに参加するのですが、この経験は、自分の人生において、大きな転機となりました。
前提や価値観が異なるクリエイターたちとアイデアを作り込むプロセスは、「面白いことが生まれそうだ!」という感覚がありましたし、社員のやりたいことが事業に組み込まれるスタイルはこれからの時代に合うと感じたんです。
売上規模ではなく、長く続く「時間軸」を目指すことが大切だと感じています。
原体験には、リクルート時代に大手結婚式場とのジョイントベンチャーで立ち上げた「フラワー装飾事業」があります。ウエディング装飾や卓上フラワー、フォトブース一式をスタイル別に約30パターンほど開発しレンタルする事業で、立ち上げからグロースまで関わりました。
この時、私の気持ちとしては売上規模よりも、フラワーコーディネーターの方々が業界における既得権益の柵の中で「やりたくてもできなかったこと」を協働して実現させることに重きを置いていました。
やりたいことのビジネス化。それこそが「これからの時代」には必要だと感じたんです。「KAOSPILOT」での経験は、この考えを確信に変えました。
帰国後、私は「KAOSPILOT」での経験に背中を押してもらう形でリクルートを退社。前提の全く異なるグローバルな人たちと、新しいことを、マーケットや社会に向けて企ててみたいと考え、NYに本社を置くクリエイティブエージェンシー「R/GA」のTokyoオフィスで、新たなキャリアへの挑戦を決めました。
大長さんとは以前から知り合いだったのですが、「一緒にやりましょう」とお話を頂いたのは2021年の2月頃で、3月からプロジェクトを一緒にさせてもらっています。
「R/GA」で1年が経つ頃、広告やメディアで解決できることは狭いと改めて気づかされたんです。本当に続くものを作りたければ、事業やビジネス、サービスそのものを作っていかなければいけないのだと。そのタイミングで偶然、大長さんから連絡があったんです。
大長さんは繰り返し、こういう話をしてくれました。
「外から持ち込んだアイデアではなく、中から生み出されたもので事業を作りたい」「新規事業開発の伴走を求めているクライアント企業と専門家たちを橋渡してプロジェクトを作る役割を担っていきたい」。
私はその内容にとても共感し、「何かご一緒できませんか」とメッセージを送ったのが、bridgeにジョインするきっかけとなりました。
自分の中では「教育事業をグローバルでやっていきたい」と決めてはいましたが、実践経験がまだまだ少ないことに課題がありました。
bridgeとプロジェクトを一緒にすることで、スキルや経験を積めたら嬉しいと思いましたし、リクルート時代に培った、ボトムアップで新規事業を生み出すノウハウや「KAOSPILOT」での経験、クリエイティブ制作のスキルをbridgeで活かせるのではという考えもありました。
bridgeでは「Ventures Academy(ベンチャーズアカデミー)」のミートアップや、クライアント企業でのワークショップの仕立てなどを担当してきました。これまでに6つのプロジェクトに携わりましたが、大切にしたのは、企業の「らしさ」です。
「らしさ」とは、ブランドとも言い換えられます。
ブランドは過去・未来で形成されていて、過去は企業のDNA、歴史や実績、カルチャーを意味します。未来はビジョンや社会的ミッション、ブランドパーパス。両方大事なものですが、私は未来の方がより大事だと感じているので、会社としてどちらに向かうかの意思を大切にしてほしいと思っています。
事業は、儲かれば何でも良いわけではありません。ブランド「らしさ」が宿るものでなければ続ける意味がないですし、短期的に大きく成功したとしても、長く続く事業にはならない。私はそう考えています。
広告代理店やコンサル会社は予算の関係もあり、短期での取り組みが多く、目標の売上にどれだけ早く到達できるかを求められることが多いもの。
一方でbridgeは長期的な伴走を大切にします。だからこそ私たちはクライアント企業の成長を見届けることができ、中長期でブランド(=らしさ)を育てることにも貢献できると感じています。
まずはブランドの意志ありき。そこから個人の創造性を集約して、より良いものを創っていけると良いなと思っているんです。
ボトムアップで出てきたアイデアが、その企業らしいものになってるか。個人のやりたいことや創造性と、その企業がやるべき事業をどう結びつけるか。私のテーマであり、守っていきたい部分です。
社名の由来でもある架け橋、つまり「越境」が今後のテーマだと感じています。
bridgeでは多くのクライアントと専門家の橋渡しを担ってきましたが、これからは国境も超えて、グローバルな架け橋になりたいと思っています。サステナブルなら北欧ですし、ジェンダーならアメリカ、ITは中国が進んでいます。これらをつなげられたら最強ですよね。
また、「KAOSPILOT」で学んだ北欧のビジネスも重要なテーマです。北欧はボトムアップの形で、個人のやりたいことが社会に接続されているように感じます。一方アメリカなどは、一人の天才が生み出す瞬発的で強いイメージがある。
もちろんどちらも素晴らしいのですが、北欧のゆったりと待ち、育てていく姿勢が日本には合う気がしているんです。長く続く事業をどう作るのか、続けられるチームをどう育てていくのか。それらのヒントが北欧にはあると感じています。
事業家であり、グローバル視点を持っている。これが私自身のアイデンティティです。
売上規模ではなく、人やチームの時間軸を大切にし、その結果事業が育っていくスキームを確立する。そういった形でbridgeに還元し、貢献できる存在になれたら嬉しいですね。
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