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プロジェクト

「プロトタイピング」の文化を社内で醸成。イノベーション人材の育成につなげる

「プロトタイピング」の文化を社内で醸成。イノベーション人材の育成につなげる

課題

実践で使えるプロトタイピングスキルの習得

bridgeがしたこと

社内アクセラレーターチーム向けのプロトタイピング習得プログラムを実施

成果

チームへのスキル導入とともに、伴走アイデアが社内審査を通過

キヤノンマーケティングジャパン株式会社 企画本部 事業開発部 オープンイノベーション推進課 ・木暮次郎様(課長) ・米元健二様(チーフ) ・堀内一彦様 ・安藤晴康様     ※撮影時のみマスクを外しています。

 


1968年に設立されたキヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)は、カメラ・事務機器の販売会社として歩みをはじめ、システムインテグレーション領域へと事業の幅を広げました。そして、ITの技術力と多彩な製品群、きめ細やかなサービスを組み合わせることで、社会の様々な現場をささえるソリューションを提供し続けています。現在は2025ビジョン「社会・お客さまの課題をICTと人の力で解決するプロフェッショナルな企業グループ」を目指し価値創造をしています。

その価値創造に向けて、イノベーション人材・イントレプレナーの発掘・育成に注力しています。目指す目標は、2025年までに約2,500名のイノベーション人材を輩出すること。

今回、社内の新規事業案件の仮説検証活動をリードする「アクセラレーター」のスキルアップを目的に、bridgeは計6回の支援プログラム「The Prototyping Learning Sprint(以下、PLS)」を実施。キヤノンMJグループが抱える10の実案件に沿って、起案者のアイデアに対する仮説検証を2ヶ月にわたりサポートしました。

本インタビューでは、企画本部 事業開発部 オープンイノベーション推進課の木暮様、米元様、堀内様、安藤様の4名に、実際の研修で得られた成果などを伺います。

 

社内のアクセラレーターが、新規事業創出の再現性を生み出す

─Q キヤノンMJでの、新規事業創出の取り組みについてまず教えてください。

木暮次郎(以下、木暮):オープンイノベーション推進課は4つのユニットで構成されています。1つは社内起業プログラムの運営チーム、2つめに活動やナレッジを社内に伝播するためのコミュニティ運営チーム、3つめがゼロイチで自身の起案案件の立ち上げを行うプレイヤー、最後がプレイヤー・案件を伴走・支援するアクセラレーターです

私たちの部門には「新価値を創造できる企業への変革」という命題があり、そのミッション達成に向けて現在10名のメンバーが、価値創造の仕組みの内製化を実現しようと取り組んでいます。今回、bridgeさんにPLSを依頼した私たち4名は「アクセラレーター」が主な仕事になります。

安藤晴康(以下、安藤):私は2年ほど前に、アクセラレーターとは何か? という状態でこの部署に入りました。当時は「事業をれるのは一部の天才だけ」と思っていたのですが、現在はイノベーション人材・イントレプレナーの育成を企業活動として行うことに大きな意義を感じています。

なぜなら、「事業開発には再現性がある」と実感しているからです。私たちアクセラレーターは、案件を増やし事業を広げる立場にあるため、会社や組織をさらに成長させていくうえで不可欠な役割を担っていると考えています。

─Q 今回のご依頼の背景ですが、アクセラレーターとしてどのような課題をお持ちでしたか?

木暮:依頼した理由は大きく2つ理由があります。1つは組織として知識や経験のナレッジ化を進めてきたものの、まだまだ個人に紐づく部分があったこと。それをプロタイピングを軸に統一できるのではと期待がありました。もう一つは、短い期間で最大の成果を出すことが求められていたことです。

堀内一彦(以下、堀内):私たちはこの取り組みの専任なので十分な時間を割けますが、起案するメンバーは兼業のため十分なリソースが割けません。その解決策として「いかに短い期間でアイデアの検証結果を出せるか?」が大きなテーマでした。

米元健二(以下、米元):プロタイピングの知識はありましたが、それを実践でうまく活用できるかどうかの不安もありました。どうしても事業開発プロセスの後半でプロトタイプを作ろうと考えてしまいますが、実際はもっと手前の工程で使えるはずだと思っていました。しかし、考えはあるものの具体的に実装できていなかった。

堀内:プロトタイピングと聞くと、どうしてもモックアップをしっかり作ってお客様にお見せするもの、という思い込みが社内でも強くありました。そうではなく、自分たちで起案したアイデアの検証段階から使える技術だと社内に説明したい。加えて、検証に関して理解を深めたいという想いもありましたね。

実案件を使い、知識を超えた範囲のスキルを習得

─Q bridgeに依頼し、PLSを導入しようと考えた背景、決め手は何だったのでしょうか?

木暮:PLSの受講を決めた大きな理由は、味の素株式会社コーポレート戦略部 丸山さんの推薦があったからなんです。実際にPLSのプログラムを体験した声を聞かせていただきました。丸山さんとは外部の新規事業創出プログラムで知り合い、今では情報交換をする仲なんです。

私たちは、オープンイノベーション推進課が設置された2016年以来、外部のコンサルタントに頼ることなく、自分たちで案件を育てることにこだわってきました。その方針に沿った内容がPLSでは得られると、丸山さんの話を聞きながら思えたことが今回の意思決定に大きく関係しました。

米元:今回のプログラムで一番重要だったのが、「実案件」をベースにしたスキルの向上です。自社の課題を踏まえると

① 短い期間で
② アイデア段階から検証ができて
③ 知識の範囲を超えたスキルの習得

が見込めることは非常に大きな価値でした。bridgeさんからの事前説明の際、まさに求めているプログラムだと思いましたね。

プロトタイピングの活用で、段階的に精度を上げる

─Q プログラムを受講した結果、どのような成果/得るものがあったと感じましたか?

安藤:多くの企業は「手ではなく頭を動かす」ことを優先し、プロトタイプであっても十分に作り込んでしまうケースが多いと思います。それは弊社にとっても同じこと。しかし今回のプログラムを通して、手を動かす姿勢が身についたように感じます。

bridgeさんからは「早い段階でユーザーからのフィードバックを受けて、段階的に精度を上げていきましょう」と、繰り返し説明をいただきました。それによって腑に落ましたし、プレイヤーにも伝わりやすい表現ができるようになりました。

早い段階でユーザーからのフィードバックを受けて、段階的に精度を上げる

米元:受講後に気づいたのは、プロトタイピングの知識を点で理解はしていても、線で語れる人はチームにいなかったということ。PLSでの学びにより、今回の案件についてはアクセラレーターがプレイヤーに対して納得感のある説明ができるようになりました。初期工程であっても手を動かし、精度を高めながら案件を前に進められるメンバーも増えたと感じています。

bridgeさんを持ち上げるわけではないですが、毎月の課題(月2回の研修で毎回出される)をこなし、しっかりと手を動かせるようになったのは「難易度のチューニング」にもポイントがあったと思っています。

演習の実施、起案者とのコンセンサス取得、プロトタイピングの実施などテーマは毎回違うものの、都度bridgeさんは細かく案件を理解し、提案してくれました。もし毎回の課題が難しすぎたら躊躇してしまい、アウトプットも出せなかったと思います。

堀内:実案件ベースだったので責任をもって取り組めましたし、やりがいやモチベーションにもつながりました。さらに、経験をもとに考えられるようになったことでそれまでただ持っていただけの知識が生きたものとなり、多くの検証が求められるような案件であっても優先順位を付けて対応できるようになりました。

「プロトタイプ=モックアップ」という大きな誤解

─Q プロトタイピングに興味がある企業にとって、PLSはどのような期待に応えられると思いますか?

米元:アクセラレーターとして大事なことは、どんな検証を・どのタイミングで・どんなアプローチで実施するかを示すことであり、そのためには、事業創出プロセスを正しく理解する能力が求められると思います。

今回のプログラムでは、プロトタイピングの実践的スキルをチームで身につけるとともに、今後アクセラレーターとしてどの方向に機能を拡充していくべきかも見えました。重要なのは「デザインができるかどうか」ではなく、アクセラレーターとして「こういう検証をしましょう」とすばやく判断し、自信を持って言えることです。

堀内:プロトタイプという言葉は、どうしてもモックアップを連想させます。特に弊社はSEが多いため、すぐにコーディングしようと考えてしまいがちだった。それが現在では、「プロトタイプは検証を繰り返すための重要なたたき台」との認識が社内に広まり、仮説を早期から何度も検証し、確度を上げていくためのものだと理解が進んでいます。

以前は、プロトタイプを作るために外部へアウトソースし、パターンを出すところから始まっていたのが、早ければたった1日で検証が完了するようになりました。

安藤:プロトタイピングは「後段でやるもの」と、勝手な想像で壁を作ってしまっている方には良い学びになると思います。例えば、今回私が得た気づきの一つが「無償ツールでもできることがある」ということ。具体的には、Google Map のような誰でもPCやスマホ、タブレットがあれば使えるものの活用です。

プロトタイピングは検証フェーズごとにさまざまなやり方があり、企画・アイデアの段階からも使えるもの。検証結果を元にプロトタイピングを再構成し、スピード感を持って修正・改善を繰り返すことが新規事業の開発には大切だと体感することができました。

木暮:オープンイノベーション推進課としても、事業創出の各フェーズにおいて必要なナレッジを整理し、引き出せる状態にはなっていました。

しかし「この案件は、フェーズの中でのどの位置にいるか?という現在地を具体的に把握する力が足りていなかった。そのために、プレイヤーに対して次の一手を示せないことも少なくなかった。今回のプログラム受講では、まさにその部分が磨かれたと感じています。

プロトタイピングを既存事業に活かし、文化を醸成する

─Q 今後の展望として、プロトタイピングの考え方を社内でどのように広げていく考えでしょうか?

堀内:今回は実体験を通じて、プロトタイピングの方法論やフレームワークを学べました。

次は私たちがアクセラレーターとして、プレイヤーにわかりやすく伝えることが重要だと考えています。また、弊社では新規事業のスキルを獲得するためのアカデミーも実施しているため、そこでの展開も視野に入れたいですね。

米元:プロトタイピングによって検証活動を繰り返すには「失敗してOK」という肌感覚を身につけてもらう必要があると思っています。その際、誰かが先頭に立って姿勢を示すことが大事なので、まずはアクセラレーターの私たちが率先して「失敗してOK」という空気を作っていけたらと思います。

木暮:勉強会などの座学を繰り返しても、なかなか自分事として受け入れることは難しい。であれば、実案件を使い「2週間で実感させる」といった、まさに今回bridgeさんが私たちに対して提供してくれたことを、今度は自分たちが社内で実践していきたいですね。

安藤:今後のアイデアですが、私個人としてはプロトタイピングは必ずしも新規事業の案件である必要はなく、既存事業で活用してもいいと思っているんです。例えば本部の営業から「こんなサービスを小さく作ってみたい」という声があれば、実際に応える。特定の業界や個別のお客さま向けサービスでも活かせますよね。

こういった活動を通して、プロトタイピングの概念は「広く使えるものだ」と社内に文化が醸成されていくことを期待したいです。その結果として、弊社が2025年に向けて目指している、イノベーション人材・イントレプレナーの発掘・育成の数値目標達成につながり、ひいては会社全体の成長にも貢献できると考えています。


bridgeでは、2022年度も引き続きデザイナー研修をサポートしていきます。日々加速する世の中の変化に合わせ、さまざまな専門分野の切り口から、研修カリキュラムの開発・改善に伴走します。

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