topics

トピックス

欧州におけるソーシャル・イノベーション(海外事業開発プロジェクトin ロンドン/UK 活動レポート)

2020.03.19

report

欧州におけるソーシャル・イノベーション(海外事業開発プロジェクトin ロンドン/UK 活動レポート)

昨今、多くの企業の経営指針として扱われる、SDGs(Sustainable Development Goals)。
企業においては、CSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)の領域を超え、経済的価値と社会的価値の同時実現、CSV(Creating Shared Value) を目指す事業戦略が企業の大きな経営課題になっています。
そして、縮小していく国内マーケットから海外に視野を広げ、文化や価値観が異なる異国において、CSVを実現する事業を創造していくことはほぼ全ての日本企業にとって不可欠になっています。

今回は、bridgeビジネスデザイナーの鈴木が代表を務める、(株)メルサ・インターナショナル・ジャパンが大手家電機器メーカーM社の若手メンバーを対象に約5ヶ月にわたって行った、「ソーシャル・イノベーション」をテーマとした新事業開発プロジェクトの活動をご紹介します。
なお、各活動内容の紹介と合わせて、気をつけるべきポイントについても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

海外事業開発プロジェクトin ロンドン/UK 活動レポート

■活動の経緯

本プロジェクトでは、約5ヶ月間に渡って以下のような活動を行いました。
本記事では、項目ごとに各活動の経緯をご紹介していきます。
1.プロジェクトチームの編成と事前学習
2.事業機会の発見
 ①デスクリサーチと仮説立案
 ②現地でのフィールドリサーチ
3.情報整理(情報の概念化)
4.アイデア創発と仮説検証
5.ビジネスモデルデザイン
6.Next Stepに向けて

1. プロジェクトチームの編成と事前学習

より高い効果を実現するために、全社各事業部からの立候補者に対し、基礎学習の機会を設け、自社の新規事業開発に関する論文の提出やプレゼンテーションを行なっていただき、基礎英語力や創造的活動に対する意欲の有無の観点で精鋭メンバー6名を選抜。
メンバーは、総務、経理、エンジニア、営業と異色同士の人員で構成され、新事業開発という普段関わりのなかった領域の活動で、それぞれの専門的知識や多面的視点を生かした多様性のあるチームを編成しました。

事前学習では、欧州の経済に関するマクロの視点での基礎学習と、デザイン思考によるユーザー視点の価値創造プロセスの概要、いくつかのフレームワークを用いたイノベーション創発のためのワークショップを実施し、今回の活動に必要な知識とマインドセットを醸成していきました。

2. 事業機会の発見

デスクリサーチと仮説立案

現地でのフィールドリサーチを効率的に実施するために、事前に取り組む事業領域のスコープと、現地の生活者が抱える課題の仮説を絞り込んでいきます。
今回のテーマである「ソーシャルイノベーション」に関連する現地の社会課題について、文献やインターネット記事からいくつかの視点でスコープを定めることから始まりました。
なお、スコープの定め方としては、

  • 自社の既存技術、資源、事業理念や方向性との関連があるテーマ
  • 社会課題に関連するテーマ(SDGsの17項目のいずれかに該当すること。)
  • 自身が課題意識/所有感を持てるテーマ

というルールを設定し、当初は、大気汚染、ゴミ問題、健康問題、廃油処理問題、飲料水の問題、菜食主義者の食の問題、プラスチックの廃棄問題など、いくつかの領域に着眼し、どのような未解決の社会課題が存在するか?それに対して自分たちがどのようなアプローチで解決できる可能性があるか?について、個別リサーチとチームでのディスカッション、私たちメンターとのオンライングループでの情報共有・意見交換を繰り返し、より精度の高い仮説に絞り込んでいきました。

最終的には、リーンキャンバスを用いていくつかの課題の仮説とそれらに対する暫定的なソリューションアイデアをセットで用意し、現地での活動に備えました。

 

★★★デスクリサーチのポイント★★★

デスクリサーチでは、その課題が本当に存在しているのか、どれくらいの緊急性(=市場可能性)があるのか、すでに同じような課題にフォーカスしてソリューションを提供している競合がないか、もしあれば、競合がカバーしていない領域はどこか?(ポジショニング)をリサーチしておくことで、現地での活動をより効率的に行うことが可能になります。

現地でのフィールドリサーチ

2つのチームに分かれ、最終的に絞り込まれた健康問題、水問題、廃油処理問題にフォーカスしたフィールドリサーチを実施しました。

インタビュー―
それぞれのテーマについて、対象となるユーザー層へのユーザーインタビューを実施しました。
インタビューは、

  • クイック・サーベイ:あらかじめ仮説として用意した課題と、それに対するラフなソリューションアイデアをもとに仮説検証を行う。
  • デプス・インタビュー:テーマに関して、対象属性の現地生活者を深く知ることで、潜在的なニーズを探る。
  • フォーカス・グループ・インタビュー:対象属性の現地生活者を複数名集めてインタビューを行い、カジュアルなディスカッションの中から潜在ニーズを探る。
  • エキスパート・インタビュー:テーマに関する領域に詳しい専門家から、専門的な視点での情報を得る。

上記の4種類のインタビューをランダムに複数回行いました。
まず、あらかじめ用意しておいた現地の人が抱えている(であろう)課題の仮説とラフなソリューションアイデアをセットで提示して反応を探るクイック・サーベイを行うことで様々なフィードバックを得ることができますが、その中で「その課題ならすでにこの方法/製品で解決しているよ」とか、「その課題は確かにあるけど、お金を払ってまで解決しようとは思っていないかな?」など、よりリアルな生活者の考えを知ることができたり、改善のためのアイデアや、適切な価格(いくらなら買う)のアイデアを得ることも可能です。

デプスインタビューやグループインタビューでは、対象となるユーザーへの様々な質問から深層ニーズを探っていきますが、ここでは、対象となる製品やそれに関連する行動(例えば携帯電話であれば、使っている機種の性能や普段の使い方など)だけではなく、その作業を行ううえでの困りごとや些細な不満、さらには、対象ユーザーの生活習慣や日常の行動、価値観など、幅広い視点で共感を深めていきます。

さらに今回は、取り扱うテーマに関する専門的な知見を持つ大学研究者やエンジニアへのエキスパート・インタビューを通して、解決すべき課題やソリューションアイデアに関するフィードバックや知識・情報を短期間で収集しました。
なお、大きな組織の場合、社内にいるエキスパートを頼ることができるメリットがあります。

今回は他事業他部門を持つ社内ネットワークを活用し、考えているアイデアの実現性について技術部や知財部の方からアドバイスをもらうことができ、たくさんの方の協力のおかげで発案とフィードバックの効率的なサイクルを実現することができました。

オブザービング(行動観察)―

フィールドでは、インタビューの他、着目しているテーマ/課題に関連する対象ユーザーがいる場所へ足を運び、行動観察(オブザービング)も行いました。
インタビューにも共通しますが、未知の環境でオブザービングを行う場合は、些細なことにも好奇心を持ち、「なぜこれはこうなっているのだろう?」「なぜこのような行動をしているのだろう?」といった問いをもち続け、追求していくことがとても重要です。

今回、“低所得者層の肥満問題”に着目したチームは、あらかじめ調査した低所得者層の多いエリアのスーパーマーケットに出向き、どのような人が(Who)、どのようなものを(What)、どのように買っているのか?(How)を観察し、特徴的な行動をしていた人に声をかけてインタビューさせてもらうことを繰り返すなかで、様々な発見や洞察を得ることができました。
※発見したインサイトの内容は後半でご紹介しています。 

フィールドビジットー

私たちが行う海外新規事業開発活動の事業機会発見のフェーズでは、現地協力者の普段の生活や行動に同行させていただいたり、職場や住居に伺って普段の行動を実際に見せてもらうことで、本人すらも気づいていない潜在的ニーズを探索する「フィールドビジット」(エスノグラフィーとも呼ばれます。)を並行して行うこともあります。

今回は、飲料水のテーマに関連する対象ユーザーの一般家庭を訪問させていただき、主に”水”にまつわる周辺領域(料理、食器洗い、入浴など)にフォーカスした実際の生活の様子を観察させていただきました。
現地の生活者のリアルな生活現場に入り込むことで、フォーカスした課題を取り巻く環境や一連の行動やその周辺領域に関すること以外に、リサーチ対象者の様々な背景を垣間見ることもでき、些細な事象から意外な発見をし、ソリューションアイデアを出すための有力な素材を得られることも少なくありません。
例えば、今回訪問したあるお宅では、極度な硬水に含まれる石灰によってできる水垢を除去するために独自の手法で工夫して対策している特徴的な事象を発見することができました。

また、1週間の食事のメニュー表を詳細に書き出している様子、整頓された梱包物に小まめなメモが書かれている様子などから、この対象者の性格や価値観を知ることができ、結果的に「神経質なまでに小まめで綺麗好きな主婦が、手軽に水垢問題を解消できる方法はないだろうか?」という問いを立てることができました。(ただし、この段階でもあくまで仮説にすぎません。)

このように、一般論やインタビューでの回答だけでは知り得ない、本人さえも自覚していない特徴的な行動や発言から、新商品/新事業開発の対象となるユーザーのペルソナを描くうえで重要な情報を得ることができるのも、フィールドリサーチの醍醐味です。

また、テーブルを囲んだ談話の中で、夫婦の役割分担についてお話を伺い、日本とは違う“主婦”という文脈の違いについて知ることができたことも重要な気づきを得る機会になりました。

 

★★★フィールドリサーチのポイント★★★

現地での一次情報を得ることは、未解決の課題を発見し、洞察を経て上質なアイデアをアウトプットに導く上で非常に有用な手段になります。

今回ご紹介した、インタビューやオブザービング、フィールドビジットなどのフィールドリサーチは「文脈探索」とも呼ばれ、制約のない探索的なリサーチを通して、対象ユーザーの発言や行動、対象ユーザーをとりまく様々な背景を幅広く観察し、様々な文脈の中から洞察を得ることが可能です。

一方で、自由度が高まれば高まるほど、情報が増えれば増えるほど、収束が難しくなり、情報に溺れて混乱してしまうことも少なくありません。

フィールドリサーチでは、幅広い視点で文脈探索を広げながらも、限られた期間に優れたインサイト(洞察)を得るために、「そもそも何を明らかにするためのリサーチなのか?」という基本的な軸から外れないよう、常に意識しておくことが重要です。特に今回のように慣れない言語で効率的にリサーチを行う場合には、この部分の設計が特に重要になります。

また、フィールドリサーチでは、表面的な回答で短絡的に結論を出そうとせず、さらに一歩踏み込んで深い質問や観察を行うことで、より質の高いインサイト(洞察)に導いていくことができます。
その際に、協力者が極力リラックスして本音を打ち明けてくれたり、普段の行動を気軽に見せてくれる環境と関係性を構築することがとても重要です。
聞いていないことまでどんどん話してくれる/見せてくれるという信頼関係を作れるかどうかが腕の見せ所。

インタビューでは、一つ一つの言動をしっかりと記録できるよう、メモは必須。その際に、「事実」(対象者の実際の発言・行動)と「解釈」(それも踏まえて自分が感じた/思ったこと)を明確に分けて逐一メモを取ることで、後からの情報整理が効率的になります。
可能であれば、動画や写真もできるだけ多く残しておきましょう。

3. 情報整理(情報の概念化)

ロンドンでのフィールドリサーチもいよいよ後半。
この頃にはすでに、デスクリサーチや国内での議論だけでは到底得られない有用な一次情報を多く獲得し、より上質なアウトプットを実現させるための素材を多く収集することができていました。

ここからは、フィールドリサーチで得たたくさんの断片的な情報を整理し、イノベーションを実現するために重要なインサイト(洞察)に結びつけるための情報の概念化を行います。

情報整理のフェーズでは、それまでに行ったインタビューや行動観察を記録したメモの内容を付箋に書き出し、KJ法などの手法を用いて概念化していくプロセスを辿ります。
フィールドリサーチで見聞きした様々な事象を整理していくなかで、全く違う場面、場所、人の発言・行動などの事象同士が共通点や相関性を持っていることに気づくことがあります。

また、実際にリサーチ対象者が行なっている行動と発言に矛盾が見えるようなこともしばしばありますが、この矛盾の中に、対象ユーザーの言語化されていない潜在ニーズを知るための手がかりを発見できることがあります。
例えば今回、“低所得者層の肥満問題”に着目したチームが現地のスーパーマーケットで行なった行動観察では、レトルト食品やスナック菓子を買っている多くの主婦にインタビューを行った際に、多くの対象者が「いつもは料理しているけど今日はたまたま」という発言をしていた矛盾点に着目しました。
そこから、
「時間の問題や経済的な問題で料理ができず、つい体に悪いレトルト食品やスナック菓子を買ってしまい、悪い習慣から抜け出せないことへの罪悪感」
という、言語化されない情緒的な悩みを抱えているのではないか?という洞察に至ることができます。

これを追求していくことで、
「どのようにすれば、手間を省いて手軽に食べられる、健康に良い食品を提供することができるだろうか?」
といった、良質なソリューションアイデアに至る問いを立てることができます。

★★★情報整理のポイント★★★

前述のスーパーマーケットでのインタビューのように、人は得てして「本音を語らない」ことが多々あるという特性を念頭に置き、
いかに違和感や矛盾点に気づき、言語化されていない深層心理を読み解いていくかが、良いインサイトを得るための重要な技量になります。

フィールドリサーチでは、自分自身が持つバイアス(固定観念)を一切取り去り、5歳児のような好奇心を持って新鮮な心で対象ユーザーを知り、共感していくことが重要なポイントになります。

インサイトにたどり着くまでの情報整理のフェーズでは、自分の固定概念に縛られ、あらかじめ持った仮説を立証するための都合の良い情報だけを抽出してしまう「確証バイアス」の状態に陥る心理的な弊害が生じることが多々あります。
自分の仮説が正しいことを証明するための「立証」が目的ではなく、常に、自分が立てた仮説は間違っている可能性があるという、「反証」を前提とした考え方を常に持っておきましょう。

4. アイデア創発と仮説検証

フィールドリサーチからインサイトを得たら、ここからは対象ユーザーの潜在課題に対するソリューションアイデアを描き、プロトタイプによる仮説検証と改善を繰り返すフェーズに移っていきます。
今回のプロジェクトでは、最終的に以下のようなアイデアにたどり着きました。

・水問題:「硬水に含まれる石灰成分による美容や健康への悪影響を軽減するための浄水プロダクト」
・健康問題:「自転車利用者が増えない原因となっているサイクリストの安全の問題を解消するプロダクト」
・ゴミ問題と油問題:「廃棄された紙と使用後の紅茶茶葉で再生紙を生成するプロダクト」

プロトタイプの段階では、時間をかけてアイデアを精緻化したり、詳細な機能や仕様を考える必要なく、発見した課題を解決しうるソリューションアイデアをコンセプトレベルで伝えられるアウトプットを素早く形成することが重要です。

アイデアをわかりやすく可視化し、仮説検証を行うために用いるプロトタイプには様々な手法がありますが、今回は、課題に対するアイデアをパッと見て評価できる絵や、そのサービスの利用シーンとプロセスを簡易的に描いた「ストーリーボード」という手法を用いて仮説検証を行いました。

仮説検証では、対象ユーザーにプロトタイプや利用シーンをイメージできるアウトプットを見せながら、主に
(1)良いところ(2)改善してほしいところ(3)質問や疑問(4)追加アイデア
の4つの点を中心に、対象ユーザーからのフィードバックをもらいます。

「仮説検証型インタビュー」は、フィールドリサーチで行う「機会探索型インタビュー」よりも目的が明確であり、比較的容易に進めることができますが、この際にも対象ユーザーの深層心理を発見するチャンスがあります。
淡々とした一問一答に終始させないことはもちろん、単純にフィードバックをもらうだけではなく、インタビュー対象者も自ら楽しんで発案に参加してくれるようなインタビューの場、無意識のうちに共創関係を構築することができれば、活動がより有意義なものになります。

今回は、現地でインタビューに協力してくれた方々と連絡を取り合い、SNSで情報を提供してもらったり、アドバイスをくれたりしたことで、より効率的にアイデアのブラッシュアップができました。

このような、ユーザーをも巻き込んだ共創関係が構築されていくことも、新事業開発プロジェクトの楽しさでもあります。

★★★アイデア創発と仮説検証のポイント★★★

仮説検証を行う対象は、当然ながらその課題を持つユーザーとして定義した属性の人を対象に、一般論とではなく、あくまでその対象ユーザーがどう感じるかに視点を置いて検証します。

せっかくターゲットユーザーを定義していても、まったく違う属性の人に仮説検証を行なっても意味がありません。
「学生」「主婦」「サラリーマン」といったざっくりとした属性ではなく、あくまでその課題を持っていそうなペルソナを対象に仮説検証行う必要があります。
発言や行動からインサイトを得た対象者に仮説検証できることがベストです。
そのうえで、どのレベルで何を検証するのか?を明確に意識して仮説検証を進めることが重要です。

この段階では、前述の通り、細かい機能や性能など、精緻化されたアイデアに落とし込む必要はなく、まずはコンセプトレベルで対象ユーザーに仮説検証をしていきます。

 

5. ビジネスモデルデザイン

仮説検証のプロセスで対象ユーザーからのフィードバックを元にアイデアを改善し、ブラッシュアップしていき、事業としての方向性が見えてきたら、いよいよビジネスモデルを構築していきます。

今回現地で行ったような「デザインリサーチ」によって得られた知識や情報は有用なものですが、事業として前進させていく場合には、意思決定者の「承認の壁」に必ず直面します。

その際に、理論的な筋立てがあることで、社内外で関わる様々な関係者にアイデアを素早く共有できるツールとして、「ビジネスモデルキャンバス」があります。

今回はビジネスモデルキャンバスを使って、いくつかのビジネスモデルを構築しました。
ビジネスモデルキャンバスでは、顧客、提供する商品、自社の強み、販売チャネル、パートナー…etc など、ビジネスとして成り立たせるために定義が必要な9つの項目を埋めていきます。

参考:「ビジネスモデルキャンバスの効果的な使い方」

★★★ビジネスモデルデザインのポイント★★★

アイデアをビジネスとして成り立たせるうえで、(1)有用性(顧客のニーズ)(2)経済的実現性(3)技術的実現性を満たしている必要があります。
得てして、「自社の技術・資源でできるか?」という議論が生じますが、昨今は大企業とスタートアップ企業のオープンイノベーションや、外部のパートナーとの連携の文化も盛んになっていますので、”自前主義”から脱却し、外部の人や組織との連携も意識しながら可能性を探っていくことで、イノベーションの可能性もさらに高まっていきます。

6. Next Stepに向けて

現地での集大成として、現地有識者を招いたビジネスアイデアのプレゼンテーションを実施しました。
概ね良い評価を得られましたが、事業の目的はあくまで継続し、成長させていくことであることは言うまでもありません。

企業内新規事業を発足し、継続させていくうえで、自社の資金力や資源、ネットワークを生かせるという大きな強みがある一方で、あらゆるステップでの意思決定の遅さや、大きな組織故の合意形成の難しさなど、様々な壁を乗り越えていかなければなりません。

理想論が先走り、会社の理解が得られずモチベーションが低下してついには火が消えてしまう、という例は実に多く、逆に理論先行でモチベーションがついていかないというケースもよく見られます。

新規事業開発においては、俗に言う「ロマンとそろばん」の調和がとても重要になります。
増えていく関係者に対して時には感性に訴えかけ、時にはロジックで説得し、迂用曲折を経て事業を育てていく過程で、使命感やコミットメントが醸成され、強固になっていきます。

その上で最たる原動力となるのは、やはり事業を推進する本人のWill(情熱や使命感)ではないでしょうか。
仕事は“人”が行うもの、事業の組織もまた、その”人”によって構成されるものだからです。

今回の活動を通して、若手社員のサービスデザイン/新規事業開発の手法を、実践を通して高いレベルで得ていただくことができました。
しかし、新規事業を創出し、事業として継続的に成長させていくうえで最も重要なのは方法論ではなく、様々な壁を乗り越えていく、個人の内発的モチベーションが最大の原動力になります。
個人のWill(情熱や使命感)をベースに所有感を持って推進していくことが何よりも重要なのです。

M社における若手社員による海外新事業開発活動は2016年に始まり、今回で3回目となりました。
過去のプロジェクトメンバーも活動を継続し、有志での新規事業チームが活性化するなど、少しずつではあるものの、良い流れができてきました。
若い社員の皆さんには、今後も海外事業、新規事業へのモチベーションを絶えることなく持ち続け、イノベーション創発/事業創造の活動を通してより仕事を豊かなものにしてほしいと願うばかりです。

 

ーお知らせー

bridgeでは、海外での新規事業開発実践プログラム、シリコンバレーでのイノベーションリーダーシップ育成プログラム、東南アジアでのサービスデザインスプリントなど、グローバルネットワークを使ったプロジェクトも多数展開しています。
ぜひお気軽にお問い合わせください。
リンク : https://www.bridgedesigners.com/project/2642/

ーwritten by 鈴木郁斗/株式会社bridge

記事をシェア

RECOMMENDED

  • axis

    2019.05.31

    report

    【対談(後編)】未来の事業づくりを支援するデザインファームb…

  • axis

    2019.05.31

    report

    【対談(前編)】未来の事業づくりを支援するデザインファームb…

  • 2019.04.12

    report

    デザイン思考による価値創造in U.S.A.
    (若手…