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【セミナーレポート】失敗から学ぶ新規事業の進め方と正しいフレームワーク活用術

【セミナーレポート】失敗から学ぶ新規事業の進め方と正しいフレームワーク活用術

2022.05.02

bridgeは、株式会社システムインテグレータと共催で、オンラインセミナー「失敗から学ぶ新規事業の進め方と正しいフレームワーク活用術」を実施しました。

本セミナーの動画視聴ご希望の方は【こちら】

今回のセミナー参加者に「新規事業開発についてどのような課題をお持ちですか?」とアンケートをとったところ、

・アイデアが出てこない
・なかなか事業化までいかない
・アイデアに対するニーズの有無の判断や調査が難しい
・社内で実施した例がなく、企業風土的に新事業開発のアイデアが出にくい

などの回答がありました。

環境変化の早い現代を生き抜くために昨今、社内のアイデアコンテストや提案制度を実施する企業が増えてきましたが、なかなか事業化まで思うように進まず思い悩んでいるというケースも少なくありません。

出されたアイデアが百発百中で事業化につながることなどなく、事業化されたアイデアが1つあれば、その裏にはボツになったアイデアがその何倍も存在します。そこで自社の新規事業をグッと成功に近づけるために有効なのが、フレームワークを「正しく」活用することです。

本セミナーでは、第1部で株式会社bridgeの大長が、200以上の新規事業コンサルを行ってきた体験をもとにフレームワークの活用方法を伝授します。第2部では、アイデア発想ツール「IDEA GARDEN」の企画から事業化までの体験談を開発責任者からお話しします。

ブログでは、セミナーでお話しした内容を一部抜粋してご紹介します。

第1部:フレームワークの活用術~間違いだらけのリーンキャンバス~

社内新規事業をやっている人向けに、新規事業で苦労した経験を聞いたアンケートでは、「既存事業から必要な支援・協力を得るのに苦労する」という回答が最も多かったです。既存事業の行動原則からすると、新規事業は不確実性が高く参加しづらいのが現状です。少しでも多くの社員が新規事業に関われる土壌を作っていき、皆がサポートできるカルチャーを作っていくことが大事になってきています。

既存事業と新規事業では、目的や目標、手法、必要とされる行動原則が異なります。それにもかかわらず、すでにあるナレッジやリソースに頼るあまり、売上や利益計画にもとづく「戦略思考」を新規事業でも用いてしまいます。これがイノベーションに至るブレイクスルーを生み出せない要因の1つです。

誰もが新しいことに挑戦しやすく、失敗しても再チャレンジしやすい環境を同時に作ることも重要です。これを「実験思考」と呼びます。個人の主観や直感を大切にし、反応がなければ「脈ナシ」と結論を出せる考え方です。以前は「脈ナシ」と言うことすらできませんでした。議論の原則から変えていく必要性に気づくのではないでしょうか。

社内の提案制度・新規事業を考えるときに、多くの場合は「議論がうまくできていない」という課題があります。色々検証すべきこと、曖昧なことだらけだからです。

リーンキャンバスとは「9つの視点でビジネスの全体を俯瞰するツール」です。この9つの枠で考えることで、議論の空中戦を防ぐことができます。

リーンキャンバスとビジネスモデルキャンバスでは守備範囲が異なります。誰のどんな問題を解決するのか、解決ニーズは存在するのか、という部分を議論するにはリーンキャンバスが向いています。リーンキャンバスは世界のスタートアップやベンチャーが次々と試みており、産業の競争ルールを塗り替えるユニコーン企業がどんどん生まれています。

「課題」「顧客セグメント」「独自の価値提案」の3つが、初期段階で徹底的に検証すべきポイントです。ここがズレていると4以降を議論する意味がありません。多くの企業は一旦9個のマスを埋めて終わってしまうのですが、ほとんどの場合は1〜3がフィットしていないのです。

ビジネスの関係図をピラミッドで表現しています。一番土台にあるのは「誰のどんな問題か」であり、その上でどのソリューションが採用されて、どの技術を使って、どのように認知してもらって買ってもらうか、という順番になります。そのため、顧客と問題が変わってしまうと、上も全部変わってしまいます。

1)課題の質を高める
キャンバスを書ける時点でソリューションは持っていますが、イシューやコンセプトは課題の質によって全く違うものになってきます。課題の解像度を高めていくことを優先して実践してほしいです。(事例は動画にてご覧ください)

2)一番初めにサービスを欲しがる人が誰かを考える
例えば、商品の販売3日前から店舗に並ぶ人々や、中途半端であっても最初にそのサービスを導入してくれる企業のことを指します。そのアーリーアダプターを徹底的に議論して、その人たちに話を聞きにいって、その人たちが本当に欲しがるかどうかを確認していくことがポイントです。

3)独自の価値提案

解決策はさまざまあります。課題の捉え方でソリューションは全く変わってくるため、徹底的に議論しましょう。「課題」「顧客セグメント」「独自の価値提案」の3つがフィットしているかどうか、筋が通るかどうか、考え方に脈があるかどうかを、インタビューやプロトタイプをしながら検証していくことが重要です。

ディスカッションポイントはこちらの5つです。これを元に一通りリーンキャンバスを書いてみると、リスクの高い仮説が見えてきます。リスクの高い仮説とは、ビジネスが成立するために重要だけれども曖昧でよく分からないことです。このゾーンを、リーンキャンバスで議論しながら検証していくことが、正しい使い方です。

本セミナーの動画視聴ご希望の方は【こちら】

 

第2部:社員発想アイデアの事業化までの道のり

アイデア発想のよくある悩みとして、
・アイデアが出てこない
・質が悪い
・重複、類似している
ことがあります。

株式会社システムインテグレータでは年1回のアイデアコンテストを実施していますが、10年以上事業化アイデアはありませんでした。

アイデアコンテストの悩みとしては、
・毎年同じ人
・何年も事業化なし
・孤独、無関心
が挙げられます。

横山さんは、出場13回、優勝5回されています。4ヶ月でチームを組んで、集中的に企画を出し、磨き上げて仮説検証する挑戦をしてきました。最初は一人でも、みんなの力を借りれば、新規事業は実現できると信じています。

IDEA GARDENとは

IDEA GARDENとは、社員一人一人がアイデアを創出し、それをみんなで育てるためのアイデア創出プラットフォームです。アイデア発想のよくある悩みを解決し、アイデアがどんどん出てくるようになります。そして、全員創造の文化を作ることができます。

あらゆる人々が、多種多様なアイデアを発想して育成できる場を作り、イノベーションと幸せを生み出すことを実現したいと思い、IDEA GARDENを作っています。

アイデアソン、既存事業改善、SDGs活動などでご利用いただいています。

実際にシステムインテグレータ社内でもアイデアソンを実施しました。

新卒20名を対象に、日頃感じている困っていること、新聞やニュースでよく聞くことをヒントとして出してもらい、それを組み合わせて新しいアイデアを考えてもらいました。IDEA GARDENを利用したところ、1つのアイデアに対して19件のいいね、16件のコメントが付きました。「誰がどんな活動をしているかが見える」ことが特徴です。

さらに、「段階的なアイデア成長」という特徴があります。最初はアイデアの種を登録するところで、まずはお客様が誰でどんな困り事なのかを登録し、アイデアに成長させる時に独自の価値観や解決方法を埋めて、企画に持っていくときに競合や販路、収益の流れなどを埋めていくことで、色々な人がアイデアを出して段階的に成長できるようになっています。

その結果、3時間で26件のアイデアが出てきました。

企画実現までの道のり

・どこで考えたのか?
→偶然知った社外イベント(MIJSコンソーシアムの新製品ワークショップ)

・参加の動機
→社長を「ギャフン」と言わせたい!
13回アイデアコンテストに出場しても一度も事業化できていなかったところと、社長にアイデアを認めてもらいたい想いがありました。

・誰と考えたのか?
→4人。社内のコンテスト入賞者、上司を個別に口説きました。

・なぜ思いついたのか?
→質より量。約4ヶ月、4人で考えた企画数は15企画+αでした。リーンキャンバスを用いて仮説検証を繰り返しました。質が悪い(お金を払ってまでその課題を解決したいと思わない)場合は即撤退しました。
→また、同僚の退職も大きな影響を与えました。強烈な課題意識を持ち、マインドマップで考えを整理しました。

・どうやって具体化したのか?
→製品ページを1枚プロトタイプとして作り、社外インタビューを行いました。htmlのページを作成し、悩み(仮説)、機能、価格を記載しました。インタビューは3社に行い、「20万以下なら買いたい」という意見をいただきました。その後は社長含め、「どうやったら実現できるか?」を考えました。

・どうやって社内稟議を通したのか?
→経営会議でプレゼンを行いました。経営会議に向けては、プロダクトのビジョン、ビジネスモデル、収支計画などを他のメンバーと協力して作りました。

どのような規模や業種の組織でも、社内起業家が意識すべき3つの視点があります。それが、「自分(YOU)」と「組織(COMPANY)」と「顧客(CUSTOMER)」です。組織の中でイノベーションを力強く推進する人は、これら3つの円すべてが重なったスイートスポットを狙うことがポイント。役員に提案する際には、この3つのバランスを重視しました。

参考:bridgeトピックス「なぜ、御社の新規事業は上手くいかないのか?」

まずは6ヶ月実践してみて、継続を判断することになりました。

・どうやって事業化したのか?
→ゼロから開発チームを立ち上げました。後輩二人を誘って3人の開発チームが出来、それぞれの得意分野を生かし、3ヶ月でプロトタイプを開発して社内コンテストで検証をしました。プロトタイプは102人利用、11企画応募がありました。その後、動くプロトタイプを作成し、社外インタビューを行いました。経営会議でプレゼンをした結果、事業継続をして良いということになりました。

本セミナーの動画視聴ご希望の方は【こちら】

セミナー参加者の声

・フレームワークがあることを知り、またそれを活用したアイデア収集の場を実践されたお話が伺えて良かったです。

・他社でのアイデアだし方法やリーンキャンバスの活用方法が聞けて良かった。

・社内のアイデアコンテストを今後どうするか考えていたので参考になった。

・新規ビジネス創出にあたって、他社担当者も同じ壁にぶつかっていることが分かった。

・リーンキャンバスの3つのポイントが明確になった。複数のリーンキャンパスを平行して埋めていくという考え方は新鮮だった。場合によっては途中で中止する事も考えておく必要があり、間口は広い方が良い事が分かった。

・新規事業の取り組みについて全くどこから手を付けて良いかわからなかったが、フレームワークの紹介や、事業化までの道のりという事で概要を説明いただき、イメージを持つことができた。

・IDEA GARDENの今日までの軌跡を知ることができ、非常に参考になった。コンテストで優勝を13回もされたのに事業化ができなかったといった失敗談や、孤独感を持たれていることに対しての共感など、非常にためになる情報をご提供頂けたと感じた。

・マインドセットの話が特に印象深かった。

 

 

株式会社システムインテグレータとbridgeは、

・事業を拡大/成長させたい経営者の方
・新規事業開発や経営企画に携わっている方
・人事/教育担当者の方

を対象に、今後もこのようなセミナーを実施していきます。

 

 

 



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