CASE STUDY

組織変革

NEXWAY:新規事業を成功させる「組織能力」の獲得

NEXWAY:新規事業を成功させる「組織能力」の獲得

課題

社内に新規事業開発のノウハウがなく、次なる事業の柱が生まれないことに危機感を持っていた

bridgeがしたこと

継続的に事業を立ち上げられる組織風土と人材づくり

成果

事業化に向けた具体的なサービス開発がスタートし、イノベーション支援を目的とする「事業創発センター」が本格的に稼働

株式会社ネクスウェイ 代表取締役 松森 正彦氏(中央)・専務取締役 荒野 高志氏(左)・株式会社bridge 代表取締役 大長 伸行(右)

FAXを中心とした通信事業で拡大し続けてきた株式会社ネクスウェイ。リクルート社の事業として1999年にFAXサービスで業界No.1シェアを獲得して以来、2004年の分社独立以降も勢い衰えることなく事業拡大を続けてきました。

一方インターネットが当たり前の現代において、FAX事業の将来性に対して、経営陣は危機感を覚えていたといいます。
「20年以上前からFAXは斜陽メディアと言われるようになりました。そんな私たちにとって新規事業の立ち上げは、全社をあげて向き合うべきテーマでした」

社内提案制度が軌道に乗らない中、ここまでうまくいかないのは、社内に新規事業開発の「能力」がないのではと考えるようになったといいます。
bridgeでは2020年にスタートした事業開発プログラムのほか、継続的にイノベーションを生み出し続けるための組織開発も並行して支援させていただきました。

本インタビューでは、bridge代表の大長がネクスウェイの松森正彦社長と荒野高志専務に、これまでの取り組みと得られた成果、手応えなどをお聞きしました。

新規事業開発の「能力を身につける」という選択

-Q 新規事業開発に対して難しさを感じていたと伺いました。具体的にはどのような課題があったのでしょうか?

 

松森社長(以下、松森):これまでに何度も新規事業開発プログラムを立ち上げてきたのですが、大きな成果を出すことができないまま、年月が経ってしまいました。

その背景には新規事業開発の「能力」が足りなかったこと、そして成果を急ぎすぎたという2つの原因があります。

特に後者については、既存事業のFAXサービスは圧倒的な利益を出していたため、新規事業に対しても同規模の売上や利益を期待してしまったんです。それも短期の成果として。その結果として、既存事業の周辺に新たなサービスは生まれるものの、いわゆる「新規事業」はなかなか育たない状況でした。

さらに言うと、新規事業のノウハウが貯まらないため、社内提案制度を実施しても「経営陣も選考通過者にアドバイスができない」という状況に陥っていました。新規事業は生まれず、諦めた社員は独立していってしまう。

「なんなんだ、これは」と頭を悩ませる日々でした。

荒野専務(以下、荒野):私はbridgeさんとの取り組みが始まった2020年4月に専務取締役として着任しました。それ以前はネクスウェイの親会社にあたる株式会社インテックで新規事業開発とR&Dに取り組んでいたので、その領域のプロという自負があります。

そんな私の視点からは、ネクスウェイは営業は得意でも、新規事業開発については何をすべきなのか本質が掴めていないように見えました。極端に言えば、ただアイデアコンテストを社内で実施しているだけのように映ったんです。

大事なポイントを外しており、やり方や考え方をイチから考える必要があるなと感じていました。

 

bridgeへの依頼の背景は「フィーリングと独自性」全員がアントレプレナーに注目

-Q 事業開発のプロである荒野専務だけでなく、外部のコンサルタント(bridge)の支援も必要だと判断した理由は何でしょうか?

松森:新規事業の立ち上げも目的の一つですが、それ以上に今回は「アイデアコンテストではなく“組織能力開発”」と主眼を置きました。私たちは熱意やモチベーションに自信があります。しかし新規事業開発の経験やスキル、能力は十分ではありません。

この課題を解決するためには、他社のイノベーション事例も把握し、知見も豊富な外部のコンサルタントに協力してもらうことが大切だと考えました。個人だけでなく、組織としての能力を高めるためにも、“組織能力開発”が不可欠でした。

荒野:私自身もイノベーション活動に関する知見はありますが、それでも外部の意見は必要だと感じました。社内の人間が言うのと社外のコンサルが言うのでは、伝わるものが違います。一人が見える範囲と、複数の人間で見える範囲にも違いがあるはずです。

ただ、頭でっかちの理論だけを語るコンサルだったら反対していたでしょうね。正直、最初は「お手並みを拝見しようじゃないか」という思いがなかったわけではありません。

 

-Q 数あるコンサル会社がある中で、bridgeを選んだ理由は何だったのでしょうか?

松森:理由は2つあります。1つめの理由は、bridgeのメンバー全員がアントレプレナーという事実です。元々私たちはコンサルティングを活用することがあまり上手ではありません。その理由の一つとして、現場での実体験を大切にしているという社風があります。その意味で、起業経験者であるbridgeの皆さんのアドバイスは社員にも浸透しやすいのではないかと感じました。

2つめは「フィーリング」が合うなと思ったこと。

私たちの会社はただモノを売るのではなく、お客様が価値を見出してくれる提案にこそ意義があると考えています。bridgeさんは同じ価値観を持っているだろうなと思ったんです。

後日談ですが、プログラム期間中にチームの士気が下がった際、bridgeさんは一人ひとりに対して予定になかった1on1のメンタリングをしてくれました。これにより熱気を盛り返したんです。この瞬間「ああ、この会社は時間でいくらと見積る人たちではないな」と、自分たちの選択が正しかったことを実感しました。

社員が本業と兼務する形で新規事業を進めることは容易ではありません。業務過多になることもあれば、集中力が落ちることもあります。そういった状況に対して丁寧に対応し、成功のためには労を惜しまない。それがbridgeさんの特徴なのかなと思いますね。

荒野:コンサルタントとしての実力も申し分ないと感じましたね。自分も長年やってきたからこそ、話せばその人の実力がわかります。わずかな会話の中からも「この人たちは知識も経験も豊富だ」と感じました。だからこそ安心して任せることができたんです。

 

全員で「相乗効果」を生み出すプログラム

-Q 2020年のプログラムを振り返ってみて、手応えはいかがでしたか?

松森:実際のプログラムに関しては、現場を見ていた荒野さんが詳しいと思います。どうぞ先に話してください。

荒野:今回は2段階の構成でスタートさせようとbridgeさんから提案がありました。前半はフリーハンドで、組織の問題を次世代リーダーが集まる場で棚卸をするワークショップを行いました。

コロナの影響で非対面活動が中心な現在、誰もが手をあげやすい仕組みにして、話し合いの機会を持てたことは、その後のコミュニケーションに大きな役割があったと思います。

後半はbridgeさんに伴走をしてもらいながら、相乗効果の高いプログラムの実践ができました。

 

荒野:具体的な話をしていきましょうか。重要な課題についてリサーチ、検討活動をする「ワーキンググループ」が良い例です。

当初は15名ほどの参加者を見込んでいましたが、結果として150名中30名の社員が集まってくれました。事業アイデアも、これまでの経験から10件も集まれば十分と考えていましたが、最終的に20件ほど応募がありました。

このような結果が生まれたのは、やはり前半のフリーハンドの取り組みが大きかったと思います。全員で参加するからこそ一体感があり、誰かが単独でリードするのとは異なる結果を生み出せたように思います。

私一人が牽引していたら、今回のような成果は得られなかったかもしれません。

今回は社内の盛り上げ施策を事務局のメンバーが頑張ってくれました。事務局がプログラムをただ進行するという作業に終始していたら、結果もイマイチだったでしょう。bridgeさんは全体の筋道をつけながら、上手にチームの力を引き出してくれました。

 

松森:今回はね、良いタイミングがすべて重なったと感じているんですよ。新規事業が得意な荒野さんが来てくれましたし、bridgeさんの支援や事務局の頑張りもあった。特に印象的だったのは、荒野さんが社員に発破をかけたことですね。

「お金の問題を含め、様々な障壁が今後現れると思う。だけどそれをどうにかするのは経営陣の役割だ、期待していてくれ!」って。私の承諾無しに宣言したんです(笑)。

私は冷や汗ものでしたが、アレのおかげで社内のムードも大きく変わりました。「どうやらこれまでの新規事業開発プログラムとは違うぞ……?」と、社員も感じたのではないでしょうか。

 

挑戦を共有する「土壌」が新規事業開発のカギ

-Q 新たに見えてきた課題や、今後の展望についても教えていただけますか?

松森:これまではアイデアコンテストの実施に終始してしまう傾向がありました。その点はすでに大きく改善済みです。選考を通過した社員のために「事業創発センター」を設置し、全面的に支援をする準備もできました。

「事業創発センター」にはプロトタイプを作れる人間もいれば、デザインができる人間もいます。社内選考通過者は本籍を「事業創発センター」に移し、稼働が保証される仕組みになっているんです。

その上で今後課題となるのは、この1年の取り組みをさらに長いスパンで継続的に実行できるかどうかです。

長期をテーマに掲げながらも、モチベーションを保つためには1~2年で何かしらの成果が見えるような「打ち上げ花火的な事業」が必要かもしれません。このジレンマの解消が今期、来期のテーマになると思っています。

荒野:私は未来の展望という意味で、今回社内で誕生した一人の成功例をベースに、次々とイノベーション人材を生み出すことが重要だと考えています。

社員一人ひとりには個々の適性や強みというものがあります。だからこそ、何人かの新規事業に向いている社員が浮かび上がり、然るべき仕事をしてくれる組織にすることが大切だと感じています。

ではなぜ、会社全体で今回のような取り組みを実践するのかというと、価値の共有が答えになります。新規事業に挑戦する人へのリスペクトや、すぐには結果は出ないものなんだよという温かい目も含めて、全員で共有する必要があります。

仮に失敗したとしても、それは組織のナレッジになると知ってほしいんですよね。

私たちは今、新しい価値を生む「人」と「組織」を作る過程にいます。そういった土壌ができてこそ、成功の芽を社内で育み、次々とネクストチャレンジャーを生み出せる組織が実現できる。だからこそ私たち経営陣の責務は、今回の選考通過者を全力で支援することだと考えています。

会社は新規事業開発に対して「本気」だと伝え続けることが、これからのネクスウェイの発展には不可欠だと考えています。

bridgeでは2021年度も引き続き、ネクスウェイの新規事業開発の伴走支援をしています。「社内提案制度」の実施事項棚卸と新たな実行計画のほか、事業創発センターの一員として「イノベーション組織づくり」の支援、社内選考を通過したアイデアに対して投資を意思決定できるまでの仮説検証などをサポートしていきます。

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