CASE STUDY

人材育成

静岡大学 アントレプレナーシッププログラム

株式会社bridgeは、国立大学法人静岡大学にて、2022年6月から4ヶ月間、「起業・ビジネス人材育成ゼミ(アイザワゼミ)」の講義とメンタリングを担当しました。

本ゼミは、静岡大学と産学連携に関する包括業務協定を結んでいるアイザワ証券株式会社の提供で2018年から毎年実施され、静岡大学の学生と研究者が参加対象。起業に関心がある人、自分のアイデアを形にしたい人、社会の課題に本気で取り組みたい人を集め、講義にてチームごとにディスカッションを重ね、課題をビジネスにつなげる具体的なプランを作成しました。

<ダイジェスト動画はこちら>

新規事業創出/イノベーション創発のためのノウハウと、事業開発実践による実践知を獲得することで、今後求められる、起業家・イノベーターとしての確たる素養を身につけます。

本記事では、静岡大学 特任教授の鈴木俊充様と、株式会社bridge東海の別府麻美に、ゼミを立ち上げた背景や参加者の変化、最終ピッチまでを終えた経緯をインタビューしました。

左:鈴木俊充教授、右:bridge別府麻美

なぜ大学で起業家育成をしようと思ったか

鈴木:2017年度より、文科省から「次世代アントレプレナー育成事業」の公募があり、実施することになりました。その時にアイザワ証券さんと連携を組みました。今は誰もが起業をする時代だと思いますし、学生もチャレンジしてほしい。最初は大学院のゼミ生だけを対象にしていましたが、全学生を募集するように間口を広げました。

 

活動全体を通して、特に何を大事にしてきたか

鈴木:社会の課題は見えているようで見えていないところもあるので、起業プランを考えながらそれを改めて見つめ直す機会にし、自分たちが目指すところやターゲットを決めるプロセスを大切に、どういうソリューション・技術・人が必要かを考えるということを学生に進めてほしかったです。ビジネスコンテストに受かるためのプランを作るのではつまらないです。ゴミ問題や食糧問題など解決がすぐには難しい話題が出てきますが、そこからどうやって自分たちのテーマを絞っていくか、その過程を学んでもらいたかったです。必ず起業をしなさいという訳ではなく、社会人になって企業に入ってからも生きる良い経験になると思います。

別府:合宿で学生にも話したのですが、私自身は大学生の時に起業したいとずっと思っていました。しかし方法論が全くわからないし、周りに経営者はいて直接聞く機会はあったものの、それを体系立てて学んだことがありませんでした。ですので少しでも多くのことを学んで新しい視点を得てほしかったです。そして一番学んでほしかったのは、”人”の部分です。チーミングやチームビルディングがしっかりしていないと、いくらアイデアが綺麗であっても上手くいきません。お金の話やHow toよりも、まずはチームで何かひとつを作り上げることを皆さんに体験してほしかったです。みんなの気持ちやアイデアをブラッシュアップする上で、困っていることをどうやってチームで解決するのか、起業というプロセスを通じて学んでほしかったというのが一番の狙いでした。

合宿の様子

ゼミを通した学生の変化、最終ピッチまでの様子

鈴木:最初は全く知らない者同士が集まって、そこからグループを作り、上手くいったりいかなかったり、議論が進んだり進まなかったりするチームがありました。ゼミ開始すぐの合宿ではすごく盛り上がったのですが、そこからチームごとの進捗が滞っている感覚でした。最終ピッチの日程は以前から伝えていましたが、本番1週間までは本当にできるのか心配でした。しかし、当日は素晴らしかったです。プレゼン資料もきちんと作り、堂々と発表していました。試作をしたり実証しているチームもあり、想像以上に頑張ってくれました。

 

別府:皆さんとにかく学びたいというところから、やってみてどうだったという経験を糧にしているのは、実践者としての活動を通じて自分の血肉になっているようです。ガツガツ動いているメンバーからフラットにアイデアを出して作り上げているチームも、何らか自分たちの「成果を発表できた」ということに対して満足いただいていると思います。最初の目の輝きから一時どうなるかハラハラしましたが、最終的にチームで成果を出すことができ、アイザワゼミを通じて皆さんなりの成長が見られてよかったです。

最終ピッチの様子

今後の期待

別府:bridgeとして学生向けの取り組みは初めてでした。参加者は仕事ではなく、やってもやらなくてもいいというところから、どういうふうにモチベーションを継続するかが課題でした。オンラインでの進め方も検討しつつ、できる限り対面で、コミュニティ作りや一人一人の心理的ハードルを下げていきたいです。リアルでぎゅっと課題に向き合うタイミングを最後まで設け、みんなが困っている様子を肌感で感じ、サポートしながらビジネスアイデアを事業化まで持って行けるよう支援したいです。

 

鈴木:この1〜2年はコロナもあって、チームビルディングをしてから固めていくのが難しかったと思います。もし来年対面を多くできるのであれば、もっと密にして、個人的なメンタリングなどチームの中にどんどん入っていきたいです。今後は静岡大学だけでなく他大学を巻き込む計画もあり、楽しみにしています。

最終ピッチをする学生の様子

参加した静岡大学の学生の声

・僕は去年からこのゼミに参加しています。自分がすごいやりたいと思っていることを、どう技術を使ったり実現に向けて進んだらいいかを知る経験が得られてよかったです。今度はお金周りのことももっと学びたいです。(情報学部/4年/中村さん)

・自分は起業したいという想いを持ってこのゼミに参加しました。入る時は社会人の方もいて緊張していたけれど、会話をしながら打ち解けることができました。社会人の方や、他の起業プログラムに参加している方もいて、自分の経験不足や解釈の甘さに気づくことができました。まだこれから進めていきたいプロジェクトがあるので、皆さんにもフィードバックいただきたいです。(地域創造学環 /1年/松岡さん)

・このゼミに参加して、最初の合宿で意識高く盛り上がり、そこから紆余曲折あった中で、最後まで残った自分を褒めてあげたいです。もっと積極的に参加できたなという反省もあります。ありがとうございました。(情報学部/2年/柴田さん)

・活動してみて自分のタイプが分かった気がします。チームビルディングを何度も繰り返す中で、自分は突っ走ってしまうタイプなので、そのためにはサポートしてくれる人をどうやって見つけてくれるかが大事だと思いました。個人的にはアイザワゼミに入る前からずっとモチベーションは変わらず高いのですが、セミナーに加えて一人一人との1on1セッションができたらもっと良かったなと思いました。(人文社会科学部/2年/小森さん)

・私は元々、起業したいという気持ちはあまりなかったのですが、ビジネスについて勉強してみたい、ただ大学生活を送るだけでは得られないものに挑戦してみたいという気持ちから、今回のゼミに参加しました。色々な人と関わって考え方を吸収できた期間だったし、自分が企画していたことをチームメンバーと一緒に最終ピッチで発表できたことが達成感があり良かったです。起業にも興味が沸いてきました。このゼミに参加しなければ出会えなかった皆さんとのご縁を大事にしていきたいです。(農学部/2年/松井さん)

・色々なグループがあって様々な人間模様がある中で、チームビルディングで何が重要なのかは人によって意見が違い、それぞれに気づけたことが良かったと思います。行動しないと何も前に進めないですが、各チームが最終ピッチまで持ってこれて良かったです。社会人になっても、起業しても、色々なところに通じる経験が得られました。今後は社会ニーズの深堀や、マネタイズのところをさらに学びたいです。(工学部/3年/杉谷さん)

 

bridgeの総括

今回bridgeは、起業に関心がある、または自分のアイデアを形にして、社会課題に本気で取り組みたいと考えている当事者意識の高い学生を対象に、アントレプレナーシップのマインド醸成から、ビジネスプラン作成までを支援させていただきました。

bridgeは引き続き、ビジネスパーソンだけではなく、こうしたアントレプレナーシップをもった学生に対しても支援の場を広げていきたいと考えております。

 

メディア掲載

・静岡新聞
2022年10月13日(木)朝刊
「起業挑戦 プラン練る 静岡大と証券会社 学生向け講座 浜松」
https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/1135870.html

・中日新聞
2022年10月15日(土)朝刊
「起業アイデア学生提案 浜松で静大生が食品や金融教育」
https://biz.chunichi.co.jp/news/article/10/50010/

 

Share

Recommended

More with the same tag