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「bridge流」プロジェクトの進め方

bridgeではここ数年、「どんなメンバーが、どのようにプロジェクトを進めていますか?」とお問合せをいただくことが増えました。そこで今回、ボードメンバー3名による「bridge流プロジェクトの進め方」を解剖するための鼎談(ていだん)を実施することにしました。

企業のイノベーション活動を支援するbridgeでは、これまでどのような取り組みが実施されてきたのか。具体的な事例を振り返りながら、プロジェクトごとに活かされた強み、ノウハウ、スキルセットなどを紹介します。

また、bridgeで一緒に働きたいと考えている方々に向けて、私たちが大切にしている考え方や価値観などもお伝えします。登場するのは、代表大長伸行、ビジネスデザイナー鬼海 翔、プロトタイピング専門家 三冨 敬太の3名です。

 

大長伸行 プロジェクトデザイナー(写真右)
2009年よりデザインファームのコンサルタントとしてデザイン思考を活用した商品・サービス開発、イノベーション人材育成プロジェクトをリード。2017年1月株式会社bridgeを創業。多様な業種、組織の200を超える新規事業・人材開発プロジェクトを横断し得た数々の失敗経験を形式知化し、企業内新規事業の創出とイノベーション組織づくりを支援する。
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鬼海 翔 ビジネスデザイナー(写真中央)
自動車・家電・飲料・金融等の大手企業クライアントを中心に次世代リーダー育成や組織変革のプロジェクトを推進。2016年にイントラプレナーとして社内新規事業の立ち上げ及び事業統括に就任。2019年に “親子で一緒に食べられる幼児食宅配サービス” を展開するhomeal株式会社を創業し、フードスタートアップの起業家としても活動中。
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三冨 敬太 プロトタイピング専門家(写真左)
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科研究員、後期博士課程在学中。プロトタイピング専門会社S&D Prototyping株式会社代表取締役。プロトタイピングを研究し、そこで得た知見の実践を重視している。
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ギルド型ならではの「多様な視点」に強み

bridgeは多様なメンバー構成が特徴で、個々の持つ知識や経験を掛け合わせたプロジェクトデザインに強みがあります。冒頭ではまず「bridgeにはどんなメンバーが集結しているのか?」など、全体的な概要について語っていただきました。

─ まずは、bridgeの特徴について教えてください。

鬼海:組織の形態としては「ギルド型」だと解釈しています。私はスタートアップの起業家として、三冨さんはプロトタイピングの専門家として大学院で研究をしています。

今日この場にはいませんが、七島 さんも興味深い立ち位置です。大企業の中で組織開発に挑戦しながら、個人としてもbridgeのプロジェクトに参加しています。また、別府さんも社内起業家としての経験、経産省が主導する「始動」などの外部アクセラレータープログラムでの経験などを活かしながらbridgeでも活動しています。

そういったさまざまな立場、能力、経験を持つ人たちが相互作用を働かせて、bridgeでのお仕事としてプロジェクトに向き合うわけです。

三冨:大長さんと鬼海さん、二人は創業メンバーなので経営の視点も入ると思います。そこに対して私は、bridgeの案件に「参加する側のメンバー」という立場です。

その視点でお話をすると、自分がやりたいこととプロジェクト内容が「合致している」ことに参加意義を感じています。私はプロトタイピングの専門家として日々研究を重ねていて、そこでの研究結果を、企業とのプロジェクトの中で提案しています。

「ギルド型」の組織ならではの多様な視点・専門性が「価値」を生み、それがそのままbridgeとしての強みになっていると感じます。

─ 個々の活動が、bridgeの知見にもなるわけですね。

三冨:私の場合、研究論文に「誰でも使える汎用的なもの」として落とし込むことが求められています。世の中で○○理論、○○モデルといったものが次々と発表されていますが、それはそのほうが多くの人に役立ち、喜ばれるからです。

一方で抽象的で汎用的であるほど、実際の現場で使えるかどうかわからない、不確定なものとなります。そこで抽象化した理論を、プロジェクトを通して具体化し、クライアントに価値として提供しています。

鬼海:私は起業家という文脈でbridgeへの貢献を心がけています。世間的にスタートアップは「なんとなくカッコイイもの」と映っていると思いますが、実際は「事業を作ること」と「組織を作ること」の2つへの愚直な取り組みであり、悩みもほぼそこに終始します。

自分自身が起業家として日々さまざまな課題に向き合っているため、そこで得た知見をbridgeでのメンタリングやアドバイスに活用しています。特に新規事業チームを立ち上げる際にはゼロイチのプロセスを伝えられますし、必要となるマインドセットも共有できます。

新規事業開発から組織開発まで、幅広く対応

さまざまな知識や経験、ノウハウを持つメンバーを抱えるbridgeでは、企業からの相談に対してどのようなソリューション、価値提供をしているのか。具体的な事例を交えながら、それぞれのシーンで活かされた強みなどを振り返りました。

─ bridgeが得意とする仕事は何ですか?

鬼海:bridgeでは新規事業開発・組織開発に関する、あらゆる課題に対してソリューションを提供していますが、一般的には伝わりづらいのが悩みです(笑)

事例としては、ミズノさんとの「イノベーションを生むための仕組み・人材・風土作りにおける統合的支援」が一番わかりやすいと思います。

大企業ならではのさまざまな課題に対して、bridgeが持つ複数のリソース、外部脳を接続するため、依頼する側にとって純粋にコストメリットがある取り組みだったからです。

大長:ミズノさんの場合「イノベーティブな組織になるためにどうすべきか?」という議論が社内でスタートし、そこから社内提案制度も必要だし、評価する仕組みなども重要だね、と16個のアジェンダに整理された背景がありましたね。

大きなコンセプトでの括りがあり、そこから大小さまざまなプロジェクトへと発展しました。「自社のイノベーション領域はどこか?」という議論をファシリテーションする仕事もあれば、スキルに特化したワークショップの提供などもある。

都度状況が変わるため要件定義も難しい。そういったシチュエーションに対して、bridgeはプロジェクト全体のファシリテーターとして大きく貢献できると思いますね。

─ bridgeに対して、どんな期待を持ってほしいですか?

三冨:個人的にネクスウェイさんとのお仕事は、プロセスが面白かったと記憶しています。かかわってるbridgeメンバーの専門性がそれぞれ違い、強みも視点も多様性に富んだ内容でした。鬼海さんの起業家視点、村上さんのリクルートでの経験など、一つの問いに対して複数の視点が生まれ、つながっていく面白さがありました。

大長:一般的にコンサルティング会社の仕事と聞くと、クライアントの意見をコンサルがまとめるやり方がイメージされると思います。でもbridgeはぜんぜん違っていて、異なる考えを共有しながら、クライアントとともに答えを作り上げていくんですよね。

プロセスも含めて開示することで、プロジェクト自体が多様な視点によって完成していく。そこに対して価値を感じてくれたり、期待感を持ってくれると嬉しいなと思いますね。

個々の専門性を引き出す「ディレクター」の存在

プロジェクトを成功に導くうえで、重要な役割を担うのが「ディレクター」です。bridgeのディレクターは実際に、どのような仕事内容で、どのような能力が求められるのでしょうか。具体的な事例も踏まえてご紹介します。

─ ディレクターに求められる能力は何ですか?

大長:プロジェクトをどんなプロセスで進めるか、どこを価値とするか、どこをストレッチして挑戦するエリアにするか。そういった全体設計をするのがディレクターの役割です。言い換えれば、ディレクターが目指すレベルがその仕事の上限になってしまうため、仕事の品質・到達点を決められる人かどうかがまず能力として求められますね。

鬼海:ディレクターの能力がプロジェクトの上限になるのはその通りです。ただ、ディレクター自身がそこにマインドセットを置いてはいけないんですよね。「わからないものはわからない」としたうえで、bridge内外の人たちの力を借りられるかどうか。その思考や行動の柔軟性が問われると思います。

三冨:参加メンバーの意見を引き出し、一人ひとりが持つ能力、スキルセットを最大化する力とも言えそうですね。bridgeにはあらゆる方面に対して専門性の高いメンバーが揃っているので、少しのブレストでさまざまな意見や考え方、想定していなかった視点が生まれたりします。それらを拾って自分のキャパを超えていける。そんな資質がディレクターには求められるのかもしれませんね。

─ メンバーの力を引き出した、印象的な事例はありますか?

鬼海:リコーさんに提供した「デザインフィクション思考」は、まさに典型的な事例だったと思います。初めは、私個人のつながりから案件のご相談があったのですが、その時点ではあまり精通していない領域の内容だったので、お断りすべきかどうか悩んだんです。

そんなときbridgeの社内ミーティングで相談をしたら、三冨さんが偶然にもこの分野の専門だったことがわかりまして。そこからはスムーズにプロジェクトの全体設計が進んだのを覚えています。自社の強みとお客様の要望を、うまくマッチングできた事例だったのではないでしょうか。

三冨:リコーさんの例でいうと、私が「SFプロトタイピング」の文脈からデザインフィクション思考も併せて研究していたんですよね。ただあのプロジェクトに関しては、クリエイティブディレクターの村上さんの力があってこその実現でした。

村上さんの持つ、情報を集めて編集するスキルやクリエリティブ・ディレクションスキル、デザイン思考などの専門性が掛け合わされたからこそ、面白いアウトプットにつながったと感じています。

「関心や成長テーマとのフィット」でアサイン

ここからはbridgeのメンバーとして働きたい方へ向けて、社内での働き方やアサインまでの流れなどをテーマに扱います。どのような能力やマインドセットが求められ、どのような人材が活躍しやすい環境なのでしょうか。

─ プロジェクトへのアサインはどう決まりますか?

三冨:個人的に面白いと思ったのが、依頼を受注したらまずSlackに情報が置かれるんですよね。そこで得意な人やチャレンジしたい人が手をあげ、アサインされる。

大長:受注窓口やフロントに立つ側の人間は、その案件を「メンバーにとっての関心ごと」へ仕立てる能力も必要になりますね。あなたの興味範囲とここが重なりますよと伝えることで、より多くの人を巻き込めるわけです。

関心領域はそれぞれですが、たとえば仕事が面白そうとか、成長ができそうとか、色々あります。自身の関心や成長テーマとフィットすれば手をあげる人が増える印象です。

─ どんな人がbridgeで活躍できると思いますか?

三冨:各メンバーには、知らないことに対する「許容度」があるような気がします。みんな知らないことが基本的に大好きで、新しいことを取り入れようとする。知的好奇心がある人が集まっているので、チャレンジ好きな人は活躍できると思いますね。

大長:「予定通りに・決められたことを」というスタイルが得意な人は、bridgeでは動きにくいかもしれませんね。具体的な指示は出さないので、臨機応変にアプローチしていける人が向いています。初めてのことを、面白がって取り組める人には最高の環境です。

「外部脳」が集積したbridgeの活用を

最後に、bridgeへの仕事依頼を検討している企業の担当者、bridgeにジョインし一緒にプロジェクトを推進したいと考える方々へ向けてのメッセージをお願いしました。

大長:bridgeには、一つの新規事業をゼロから立ち上げるところから組織作りまで、幅広いテーマが集まっています。かつ、そこにデザイナーや起業家、研究者、事業会社での複業をしている人たちが、バラエティー豊かに集まっている。

そういった環境でプロジェクトを進めるのが「bridge流のプロジェクトの進め方」なので、学びに対する好奇心や、新たな取り組みを楽しめる人はぜひ声をかけてほしいですね。

さらに言えば、オンライン主導で自由度が高いのも特徴です。1時間単位で、自分が使える時間の中でプロジェクトに参加したり、誰かのプロジェクトをフォローしたりと、さまざまなかかわり方が可能です。

三冨:私個人としては、独自の専門性を強く打ち出せている人に来てもらえると嬉しいですね。自分とほかの人の専門性を掛け合わせることで、面白い相乗効果を期待できると思うんです。

そういう意味ではポスドク(Postdoctoral Researcher)の人などは、非常に面白い環境なのではないかと考えています。

鬼海:これからのbridgeの展望として「スタートアップスタジオ」のような存在になりたいと思っているんですよね。これは起業したい人に向けてデザイナーやエンジニアなどの専門領域のサポートをする、組織化された取り組みなのですが、日本にはまだまだ普及していません。

もしチームの作り方がわからなければ、まずはミッションやビジョンを作りましょうというところから伴走します。フェーズごとに必要なサポートを、bridgeという外部脳がたくさん集積した組織を使うことで、一気に加速させることができると思っています。

採用文脈のメッセージとしては、まずは「自分はたいしたことない」という考えを払拭してもらえたらと思います。

能力やスキルだけがすべてではなく、もしかするとその「発想力」や「行動力」がユニークかもしれない。その見極め自体もbridgeとの取り組みの中で見つけてもらえたらと思います。

あなたが存在しているだけでユニークなので、手元の能力やスキルだけで自分を判断しないでください。そうお伝えしたいですね。

 

▼bridgeの採用情報について:
https://www.bridgedesigners.com/topics/5147/

 

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